「素敵な宇宙船地球号」毎週日曜よる11時放送

[第488回] 8月19日 23:45〜24:15放送
「ホタルの光は悲鳴!?」 〜夏の夕暮れに異変あり〜
↑予告動画がご覧いただけます。


 日本の夏に彩りをそれるホタル。ホタルの光は、メスへの求愛の印。まるで呼吸を重ねるようにシンクロしながら点滅します。オスは2つ、メスは1つの発光体を持ち、その光は子孫を残すための重要な役割をしているのです。
 近年、全国各地でホタルを鑑賞する催しが開かれています。しかし、その多くが、自生のホタルではなく、ホタルを買ってきて放しているのを知っていますか?

 今やホタルは、インターネットで簡単に購入することができます。1匹300円。ひと夏3億円にもなる巨大市場です。しかし、これには大きな問題がありました。生まれた場所から無理に放されたホタルと、自生のホタルでは、放たれる光には明かな違いがあるというのです。

 番組ではある実験をしました。東京・板橋にある区ホタル飼育施設。ここで18年間世代交代をして育ってきたホタルを、1キロほど離れた公園に放しました。すると、穏やかに飛び交っていたホタルが、まるでノミのようにジャンプし始めたのです。ホタルの飼育担当者によると、「これは普通の求愛行動ではなく、威嚇の光。ここは自分の住んでいる場所ではない判断している」のだそうです。

 次に、数カ所で撮影したホタルの光を専門家に見てもらいました。すると、自生のホタルが放つ光は、F分の1のきれいなゆらぎが確認されました。F分の1のゆらぎは、ろうそくの炎に見られるような規則性の中に不規則性を含むゆらぎで、人に心地よさや安らぎの感覚を与えることで知られています。一方、ある町が買い求めているホタルが放つ光は「F2乗分の1」のゆらぎ。これは、電飾などの機械的な光と同じものです。つまり、買い求められたホタルの光りをみても、人はやすらぎを得られるわけではないのです。

 7月半ば、宮城県仙台市のとある街で、ホタル観察会が開かれようとしていました。もともと、荒れ放題だった小川を、地元で育った梅津さんが整備し、3年前から地道に地元のホタルを増やしてきたのです。その甲斐あって、その小川には、昨年たくさんのホタルが飛び交いました。しかし今年、地元の子どもたちを集めて行う観察会を前に、台風が直撃。不安になった梅津さんは数百匹のホタルを買い、放そうと考えました。しかし、「ここに別のホタルをもってきてはいけない」という専門家の声で、梅津さんは買ってきたホタルを放つのを止めたのです。すると、ホタルのシーズンが終わった7月、小川のコケの中に無数の卵が発見されました。来年孵化するホタルの卵です。よその地域のホタルを放さなくてよかったと梅津さんは改めて気づかされたそうです。

 自然保護のバロメーターといわれるホタル。その光の癒やしは、本当に安らぐホタルから放たれているのです。

ナレーター:緒形 拳


  • ホタル
    日本でみられるホタルの多くがゲンジボタル。その輝きは、世界に2千種以上いるホタルの中でも最も美しいといわれる。
  • 板橋区ホタル飼育施設
    かつての自然の水辺と同じような働きを持った環境を再現。成虫から卵、そして卵が成長し成虫へと世代を重ねてホタルを飼育している。
  • ホタルの売買
    ホタルの成虫だけでなく、幼虫をつかまえて人口養殖する業者もある。観光協会や学校など依頼があれば、1年中発送できる。