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鈴木 啓太
[ プロダクトデザイナー ]

2015.12.5

 

鈴木啓太(すずきけいた)
[ プロダクトデザイナー ]

一見、シンプルな台形のグラス。そこにビールを注ぐと…雪化粧をした富士山が現れる。その名も『富士山(ふじやま)グラス』。

生み出したのは、プロダクトデザイナー 鈴木啓太(すずきけいた)。
30万個以上売れている大ヒット商品で、使いやすさも人気の秘密だという。

「見た目が面白いだけでなく、グラスの形を台形にすることで倒れにくく安定するというメリットもあるんです。」

鈴木が得意とするのは、ひと工夫を加えた日用品。例えばせっけん皿では…

「せっけん皿って、残った泡のせいでビシャビシャになってしまうのがずっと気になっていました。どうせ泡が残るんだったら“この泡でシャボン玉が作れるのでは!”と思い、シャボン玉が吹けるせっけん皿『Soap dish』を作ってみました。」

生活を便利に楽しくする鈴木の作品。そこに込められたデザイン・コードとは…

【世の中「未完成」だらけ】

「まだ世の中のモノは、ほとんど未完成だと思っているんです。だから、モノの歴史を振り返り、本質は外さずにアップデートしていくことが大事だと思っています。
例えば醤油(しょうゆ)差しの場合、注ぎ口から醤油が垂れてしまうことってよくありますよね。だったら最初から垂れない醤油差しを作ろうと思って“垂れない醤油差し”を作ったんです。ふたの裏側に切り込みを入れて、残った醤油がそこを伝ってビンに戻るように設計しました。他にも歯ブラシの場合、コップや専用のスタンドにわざわざ立てますよね。それが煩わしいなと思ったので、歯ブラシ自身が自立する“立つ歯ブラシ”を作りました。」

鈴木による日用品の改良は、この先も続くようで…

「“もっとここをこうしたら良いのになぁ”という発見が大量にあるんですよ。
1日108件ぐらいは発見していると思いますね。」