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安東 和之
[ あんどう かずゆき ]

2015.11.21

 

安東和之(あんどう かずゆき)
[ アーティスト ]

壁一面に大きく貼られた一枚の絵…そこには両手を広げ失意の表情を浮かべる男性が描かれている。その絵に近づいてみると…すべてハンコで描かれている。
描いたのは、アーティスト・安東和之。

「この作品は72枚もの婚姻届けに、『希望』と『絶望』というオリジナルのハンコを押して、自画像を描きました。結婚に対して僕はすごく希望を持っているんですけど、既婚者から話を聞くとネガティブな話が多いんです。だからそれを聞いて僕が、絶望しながらも少しだけ希望を持っている様子を表現しています。」

このアートをはじめて8年。独特のテクニックも編み出した。

「ハンコの密度を変えて色の濃い部分、薄い部分を表現したり、細かい部分は、ハンコを全部押さずに一部だけ押して制作しています。」

時には十万回以上も押し続けて完成する安東のハンコアート。
そこに込められたデザインコードとは…

【ビビり】

「僕は気が小さいので、直接言えない世の中への文句をハンコに込めて作品を作っています。」

例えば、こちらの『ダウンジャケット』というハンコで『お花見』という文字を描いた作品では…

「これは、毎年昼からお花見を始めると、夜になってみんな“寒い寒い”って言うので、“お花見はダウンジャケットを持っていったほうがいいよ”という僕の叫びを表現しました。」

現代の若者言葉に対しても…

「最近の若者は言葉を略しすぎで面白いと思ったので、『略しすぎ』というハンコを使い、
『パねぇ』という文字を描いてみました。やっぱり自分より年下の人でも文句を言ったり指摘をするのは、怖いですね…。」