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渡辺 克仁
[ カピバラ写真家 ]

2015.10.31

 

渡辺克仁(わたなべかつひと)
[ カピバラ写真家 ]

何もせず、じっと佇む動物園の人気者、カピバラ。それをひたすら撮影し続けるのが、カピバラ写真家・渡辺克仁。カピバラだけを収めた渡辺の写真集は、実に2万部の売り上げを記録。カピバラだけを追い続ける理由とは?

「カピバラという生き物があまり研究されておらず、本やインターネットなどにも生態が詳しく書かれていないので、生で見て次々に新しい発見があるのが面白かったですね。家族思いであったり、走っても速いし泳いでもすごい、のんびりとした見た目からは想像できない生態に最初はびっくりしましたね。」

カピバラへの探究心に突き動かされ、年間100日、1日8時間以上を撮影に費やす。

「表情豊かに撮るのは中々難しいんですけれど、最高の一枚が撮れたときが嬉しいです。またそういう一枚が欲しくなって、やっぱり次も動物園に行っちゃうんですよね。」

渡辺を魅了し続ける、カピバラの表情。そこに込められたデザイン・コードとは…

【オヤジくさい】

渡辺が狙うのは、カピバラが見せる中年オヤジのような哀愁漂う表情。

「打たせ湯を浴びる2頭のカピバラの写真は、中年のサラリーマンがお風呂に浸かって“あ~”って言っているような感じに見えますね。8頭が横一列に並んで一斉にこちらを見ている写真は、まるで人間が玄関先で家族写真を撮っているようなとても不思議な写真です。」

写真を見て、日頃の疲れやストレスを一瞬でも忘れてほしいと願う渡辺。その顔には、ある変化が…。

「友達に“だんだんカピバラに似てきたね”と言われることが多いですけれど、好きなものに似るのは光栄です。」