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田中
[ ミニチュアアーティスト ]

2015.10.17

 

田中智(たなかとも)
[ ミニチュアアーティスト ]

豚汁やサバの味噌煮、出汁巻き卵などが載った食欲をそそるランチプレート。
しかしその大きさは、なんと指先程。実はすべて本物そっくりに作られたミニチュア作品。

作ったのは、作品集がベストセラーにもなった世界的ミニチュアアーティスト田中智。田中が作品づくりで、心掛けていることがある。

「食べ物について知ることが大事です。どこの国の食べ物で、どういう風に作られているのかなど、食べ物の情報を知ることで、作品に説得力が出て本物のように作ることができます。」

蓄えた知識がリアリティにつながるというのが田中のモットー。
リアリティを出すため、身近にあるものを使用するのだという。

「イチゴのつぶつぶは、イチゴの形にした粘土を待ち針で刺して表現しています。
他にもお米を作る際には、薄く引き伸ばした粘土にシャープペンの先を押し当ててくり抜きます。」

食べ物の知識とありふれた道具で、本物同然のミニチュア作品を生み出す田中。さらにリアリティを極限にまで高めるため、作品にこめたデザインコードとは…。

【食器の完成度】

「料理は多少いびつでも認識されるんですが、食器はフォルムが命です。料理を載せる皿や器などの工業製品に手作り感が出ると、たちまちリアリティが失われてしまいます。本物のお皿って形がはっきりしていて手作り感がないので、手作り感がないように作らないといけません。」

ミニチュアサイズのコンビニ弁当の容器やお茶のペットボトルなどを作るのは恐ろしいほどの労力だが、その先に待っているのは…

「一番うれしいのは、展示会場で自分の作品が入ったショーケースに鼻の油がいっぱい付いていることです。それだけ僕の作品に顔を近づけて見てくれたってことですよね。
そういうのを見るのが僕は好きですね。」