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浅井 美紀
[ 水滴写真家 ]

2015.08.01

 

浅井美紀(あさいみき)
[ 水滴写真家 ]

花びらから、水滴がこぼれ落ちそうな瞬間を捉えた写真。撮影したのは、世界でも珍しい水滴写真家の浅井美紀。水滴を撮り始めたのは、趣味で一眼レフを購入した3年前。

「何か被写体が無いかなと思って探していたところ、キラキラ光るものがあって…それが葉っぱの上に乗った、まん丸い朝露だったんですね。」

その美しさに魅了され、自分で水滴を花にのせて撮影し始めた浅井。すると新たな発見が…。
「水滴は、向こう側にあるものを写すレンズになるんです。この世の物とは思えない、ダイヤモンドよりも、何よりもきれいなものだと思ったんです。」

水滴の奥に置いた花を、水滴の中におさめるという技法にたどり着いた浅井。わずか1ミリの水滴に映し出された幻想的な世界に込められたデザイン・コードとは…。

【小さな世界に大きな感動】

例えば、タンポポの綿毛に水滴をのせた作品では…
「綿毛の一本を肉眼で見ても、あまり目に留まらないですよね。レンズを通すと、劇的にストーリーがあるような感じに見えるんです。」

浅井の手に掛かれば、小さなアリにも躍動感と生命力が宿る。これからも水滴写真家の道を歩む浅井。撮影した者だけが味わえる最高の瞬間があるという。

「水滴は本当に1ミリ以下の世界なので、小さなブレが致命傷だから、息を止めていることすら忘れちゃうの。もう泣きたくなるぐらい楽しいです!」