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森永 邦彦
[ ファッションデザイナー ]

2015.05.30

 

森永邦彦(もりながくにひこ)
[ ファッションデザイナー ]

一見、オーソドックスな黒色のシャツとジャケット。しかし、ブラックライトを当てると、色とりどりの水玉柄やチェック柄が浮かび上がる。生み出したのは、ファッションデザイナー・森永邦彦。

「作品『LIGHT』は、誰が見ても“これは真っ黒な洋服だ”と思う物がブラックライトで照らすと全く違うものに変化していくというものです。通常起こりえないことが洋服の上で起こっているので面白いなと思うんですよね。」

シンプルな純白のカーディガンである作品『COLOR』は、紫外線に当たると、真っ白だった生地にカラフルな模様が浮かび上がる。

「作る上で大事にしているのは、洋服を見た時にワクワクしたり不思議な気持ちになったり、“今までに無い感情が起こる”というところですね。」

見る者に驚きを与える森永の洋服。そこに込められたデザイン・コードとは…

【洋服のルールを壊す】

「洋服には“サイズ”、“色”、“季節”など決め事がある。そのルールをどう自分たちなりに壊すかというのを考えています。作品『SIZE』は、洋服の首元についたダイヤルを回すと、洋服の中に張り巡らされた糸が伸縮し、着る人に合わせてサイズを自由に変えることができます。何億通りもある人の体のサイズに対して、洋服は“S/M/L”というサイズ分けにしていることが、そもそも無理がある考え方だと感じていたので、着る人に合わせてサイズが変わっていく洋服は面白いんじゃないかなと思いました。」

作品『SEASON』は、洋服に入れられた無数の切れ目が、温度が上がると開き、風通しを良くすることで季節を選ばず着られる洋服。森永は、これからも洋服がもつ可能性を追求し続ける。

「僕の洋服を見た人や着た人が驚くということは、その人にとっての“日常”が少し変わる瞬間だと思います。洋服はそういう力を秘めているからすごいと思うんです。」