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原田 裕子
[ 木版画職人 ]

2015.02.21

 

原田裕子(はらだ ゆうこ)
[ 木版画職人 ]

携帯電話のケースに施された柚子の模様。実は、木版画で作り出したもの。生み出したのは、木版画職人 原田裕子。制作工程は、版木(はんぎ)と呼ばれる板に絵の具を塗り、紙を載せて摺る。さらに別の色で同じ工程を繰り返し、複数の色を表現することができる。

「紙を載せてバレンで摺ってしまえば修正ができないので、めくる瞬間が一番ドキドキしますね。浮世絵や仏画などが多い木版画の世界ですが、私は女性ならではの表現をしたいと思っています。作品のモチーフは“美味しそうなもの”や“かわいいもの”など、自分が愛着を持ったものを作っています。作品『洋梨気分』は洋梨を全体に散りばめて、洋梨1つ1つにカラフルなグラデーションをつけて表現しました。作品『傘つなぎ』は、雨が降った日に街行く人々を上から見た想像のシーンを描いています。色とりどりの傘を、まるで花が並んで咲いているかのように想像して制作しました。」

120年続く木版工房、竹中木版 竹笹堂6代目の原田。彼女の木版画に込められたデザイン・コードとは…

【技法を変えずに形を変える】

「技法を変えずに形を変えるだけで、“木版画がたくさんの人に伝わる”ということを感じています。長年受け継がれて来た木版画の伝統を守りながら、自分にしかできないアイデアを加えて、生活雑貨などの新たな製品を作るようにしています。“柚子”・“風車”・“マカロン”などの図柄が、うちわ・ポチ袋・ブックカバー・ふきん・メモ帳・扇子などにデザインされた時、木版画でしか出せない風合いなどが伝えられると思います。」

木版画ならではの温かみを、もっと知ってほしいという原田。

「別に“木版画”と敢えて言わなくても、みんなに広がればいいなと思っています。」