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俊幸
[ 照明作家 ]

2014.10.11

 

谷俊幸(たにとしゆき)
[ 照明作家 ]

天井に美しい花の模様を映し出す、木で作られた照明『Don2-wood(ドンツーウッド)』。生み出したのは、照明作家の谷俊幸。谷はフランスやドイツなどヨーロッパ各地で個展を開く世界的クリエイター。木のぬくもりを大切にする谷の作品には様々な伝統技法が用いられている。その一つが、秋田の伝統工芸“曲げわっぱ”。木を熱湯につけ美しい曲線を作り出す。

「手に取った時の柔らかさ・温かみをすごく感じられるものが日本の秋田杉、つまり日本の伝統工芸を使用したものだったんですね。大量生産で作るものよりも、1つずつ自分の気持ちを込めて作っているものの方が愛着も生まれてくるんです。“部屋”という人間が作り出した空間は一見冷たさを感じると思うんですが、木という自然なものを部屋の中心に置くだけで居心地が良くなると思うんです。」

伝統技法を学ぶことで生み出した繊細な照明。そこに込められたデザイン・コードとは…

【影】

「秋田の伝統工芸・曲げわっぱを用いた作品“Kazaguruma”や、静岡の伝統工芸・駿河竹千筋細工を用いた“Sen”など、僕の作品は生活のために明るくするということではなく影という存在を知ってもらうために制作した作品なんです。“この照明で本が読めますか?”“文字が書けますか?”と聞かれる事が多いのですが、そういうための照明ではなくお酒を飲んだりして落ち着くという感じですね。それを実感してもらいたいです。」

谷の照明が映し出す光と影は、ありふれた部屋を特別な空間に変えていく。

「行灯や障子を見れば分かるように、日本は昔から“影で遊ぶ”という文化が存在していたのです。それを僕は大事にしていきたいと思っています。」