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伊藤 博敏
[ ストーンアーティスト ]

2014.10.04

 

伊藤博敏(いとうひろとし)
[ ストーンアーティスト ]

工場の片隅で石からアート作品を作りだす、ストーンアーティスト伊藤博敏。伊藤の作品は、石にチャックが付きその中に歯がついているという一風変わったもの…石が材料なだけに全く同じ作品は二つと存在しない。100年以上続く石材店を営む伊藤。ストーンアートを始めた理由とは…

「石って一般家庭にあるものといえば、せいぜいダイヤモンドと硯(すずり)くらいだと思うんですね。石は日本の生活の中にほとんど入り込んでいませんので、石の魅力をもっと皆さんに知ってもらいたいと思い始めました。人に個性があるように石にもそれぞれ個性があるんです。見た目の模様や形も違いますので、そこが魅力だと思います。」

およそ30年間で作り続けあげた作品は、500以上。そこに込められた、デザイン・コードとは…

【逆転】

「石が持つ“硬さ・冷たさ・重さ”みたいなものを逆転していくってことがテーマですね。どんな人でも石が硬いことは分かっているので、元々の石を“暖かい”あるいは“柔らかい”表現にすることで“触れてみたい!”と思える素材にすることが目標でもありますね。」

伊藤は、石を柔らかく温かみのある作品へと変化させ、暮らしの中に溶け込ませる。

「作品『お出かけ』…これはお父さんがポケットから“パッ”と出した時に持っているハンカチっていうのがテーマでシンプルに作りました。作品『甘く見るな』…これは、クリームを塗ったケーキですが、層の真ん中は御影石・下は大理石で制作しています。柔らかいものをテーマに作るということは変わらず、石の素材感をいろいろ変えていきたいなと思っています。」