山本優美(やまもと まさみ)
[ 美術作家 ]
畳に置かれた、着古したタンクトップ。なんと素材は布ではなく陶器。
生み出したのは、美術作家・山本優美。彼女の作品の特徴はそのモチーフ。
「私がモチーフにしているのは、誰かが身につけた後の“中古の衣類”なんです。タンクトップの作品は、リサイクルショップで探してきたものをモチーフに制作しました。」
使い古した下着も陶器に。
「人が身に着けていたからこそできる、ゴムの“伸び”であったり、“傷み”の部分も表現しています。」
中古の服を細部まで再現する山本の作品。
そこに込められたデザイン・コードとは…
【痕跡】
「中古の衣類には、それを身に付けていた人の痕跡や時間というものが含まれているように感じています。衣類というものは、日常の中で一番“身近な物”。服に残ったシワや歪みを通じて、着ていた持ち主の過ごした時間を想像しながら作っています。」
服以外に靴も陶器で作るという。
友人が長年穿き続けたブーツをモチーフにした作品では…
「足首の部分にとても細かいシワが入っていたり、つま先の部分がすり減っています。この靴を履いてどんな場所に行ったのかなということを作りながら想像していましたね。」
服に残った痕跡を緻密に掘り上げ、再現する山本。
他人の服に目がいく癖があるそうで…
「目の前にいる人の服のシワを見たりして、『あ、このシワ掘りたいな!』って思ったりすることがあります(笑)」