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坪井 浩尚
[ プロダクトデザイナー ]

2018.07.07

 

坪井浩尚(つぼい こうしょう)
[ プロダクトデザイナー ]

手を振る男性の姿が映っている鏡。一見、普通の鏡のように見えるが、鏡に映った姿が反転せず、他人の目から見た自分の姿を映す、その名も「真実の鏡」。鏡の両面に、特殊な溝を彫ることなどによって通常の鏡とは真逆の姿に映るという仕組み。
生み出したのは、プロダクトデザイナー・坪井浩尚。

「鏡は、自分の姿を確認するための道具なのに、『反転した像=自分の姿』だと皆が認識していることが非常に不思議で、違和感がありました。」

普通の壁掛けカレンダーに見える作品「Magic Calendar」。実は、紙の質感を再現したデジタルディスプレー。スマートフォンやパソコンから、予定の追加や更新ができる。

「紙の質感が、僕らにとってはすごく嬉しいんですよね。先端技術を使っているんですけど、その技術を使って作りたいものは、僕らのアナログな感情なんです。」

暮らしを豊かにしてくれそうな坪井の日用品。
そこに込められた、デザイン・コードとは…

【当たり前を疑う】

「『これが当たり前だよね、普通だよね』ということを一回疑ってみることが重要だと思っています。
その前提をなくした上で“感情の質感”をデザインすることで、僕らは、感動したいと思うんですよね。」

坪井が2006年に発表した、底が桜の花びらの形をしたグラス。
冷たい飲み物が入った状態で持ち上げると…テーブルの上に水滴でできた桜の形が現れる。

「コップが結露して水滴が底に溜まると、迷惑だと感じることもあると思うんですけど、デザインに取り込むことで、『嬉しい』とか『使いたくなる』っていう気持ちになるような要素があるんじゃないかと思います。」