中塚翠涛(なかつか すいとう)
[ 書家 ]
刷毛(はけ)で勢いよく長い線を引き、その下に筆で滑らかな線を引く。出来上がったのは…
『一期一会(いちごいちえ)』と書かれた書。自由な発想の書で注目を集める書家、中塚翠涛の作品だ。
「刷毛で長く書いた『一』の字は、飛行機雲をイメージしています。飛行機雲って、現れては消えていく、そこが人の出会いと似ているなと思って書きました。」
「気宇(きう)」という心構えを意味する文字は、宇宙をイメージしたという。
「宇宙のように広い心を表現できたらいいなと思ったので、『気』は星のように書き、『宇』は銀河のように丸く書きました。」
絵のようにも見える中塚の書。そこに込められた、デザイン・コードとは…
【読めなくてもいい】
「作品として読める読めないということよりも、作品を見て“お部屋に飾りたいな”とか“この作品と共に生活したいな”とか、そんな風に思えるものを作っていきたいと思っています。」
「花鳥風月」という書は、「花」という字は地面に咲く花のように、「月」は夜空に浮かぶ月のように、「鳥」は羽ばたく鳥のように書き上げた。しかし、「風」という文字が書かれていないように見えるが…
「『風』は、心地いい風が吹いているように表現したかったので、字で表現するのではなく、ゆるやかな
曲線で表現しました。」
ルールに縛られない書はまさに、中塚の生き方そのもの。
「愉快(ゆかい)の『愉』という書は、楽しさが溢れているように書きたかったので、紙に収まり切れないくらい大きく書きました。この書のように収まり切れないぐらい、毎日を楽しんで充実させていきたいなと思っていますね。」
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