深堀隆介(ふかほり りゅうすけ)
[ 金魚絵師 ]
透明の液体が入ったプリンの容器。しかし、これを真上から見ると…
立体的な金魚の姿が浮かび上がる。
生み出したのは、金魚絵師 深堀隆介。
金魚を描くきっかけは、売れなかった若手時代のある体験から。
「アーティストをやめようと思ったその日に、飼っていた金魚を見たらとても美しく見えて、
“なぜ俺を作らん”とその金魚が僕に言っているような気がしたんですね。
それで描き始めたのがきっかけです。」
金魚を立体的に見せる、深堀独自の技法がある。
「まず容器に樹脂を流し込み固めます。固めた樹脂の上に金魚のヒレを描き、さらにその上に樹脂を流し込み固め、そこに金魚の胴体を描き、また樹脂を流し込むという工程を繰り返して、立体的な金魚を描いています。」
時には、20層近く樹脂を重ねることもあるという。
その作品に込められた、デザイン・コードとは…
【感じたところに描く】
身の回りのあらゆる物に金魚の存在を感じ、描くという深堀。
「息子の上履きを買いに行った時に上履きに金魚が見えたんで、その上履きを買って描きました。
だから、一足でいいところを二足買うことになってしまいました。」
城の模型は…
「裏を見たら、そこに藻が生えた池が見えたので、そこに金魚と藻を描きました。」
金魚絵師になるきっかけとなった若き日の体験を深堀は、こう呼ぶ。
「金魚に救われたんで、“金すくい”じゃなくて、“金魚救い”と呼んでいます。」