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加藤 智大
[ 美術家 ]

2017.04.01

 

加藤智大(かとう ともひろ)
[ 美術家 ]

モノクロ写真に見間違えるほど精巧に作られた朝顔。その材料はなんと“鉄”。
生み出したのは、鉄でアート作品を作る美術家、加藤智大。鉄の加工会社に勤めていた時に、その魅力にとりつかれたという。

「鉄は、武器や農工具のように昔から人類と密接に関わっていると思うんです。
そのつながりの強さに惹かれるんですよね。」

モチーフは身の回りにあるもの。刷毛をモチーフにした作品『steel brush』。

「毛の一本一本まで極細の針金を使って表現をしています。刷毛の薄汚れている感じを表現するために鉄のサビを利用して作りました。」

鉄とわからないほど、緻密に作り込む加藤。その作品に込められたデザイン・コードとは…

【ちゃんと見ようよ】

「友人の結婚式に鉄のネクタイを作り、着ていったことがあったんです。気づいてくれるかなと友人の前に姿を見せたら、誰も鉄と気づかなかったんです。仕方がないので、自分からネクタイをコンコンと叩き“これ鉄で出来ているんだよ”と主張したらようやく
“あー!鉄で出来ている”と驚いてくれたことがあったんです。」

じっくり見渡してみれば、世の中は面白いことで溢れている…これこそ、加藤が作品に込めるメッセージ。鉄で作った鉛筆にもちょっとした遊び心が…

「鉛筆で“HB”とか“2B”と書いているところに鉄の元素記号である“Fe”と刻印をつけています。人を驚かせた時は、すごく高揚感がありますね。」