渡邉千夏(わたなべ ちなつ)
[ 造形作家 ]
絵本を開くと…右側にだけサーカスのテントが半分のみ描かれている。しかし、開く角度を90度にすると…左のページにもテントの絵が現れ、一枚の絵が完成する。実はこれ、ページが鏡になっていて、その反射を利用した鏡の絵本。作ったのは、造形作家 渡邉千夏。創作のきっかけとは…
「三面鏡を覗いていると、鏡を組み合わせることで違う世界があるように見えるのが面白いなと思ったんです。」
90度に開くと、一枚の絵になる。それが絵本の基本的な楽しみ方だが…
「いろんな角度に動かすと、ページの角度によって絵が変わるのですごく面白いです。
そういう意味では、絵が無限に隠されているんじゃないかなと思いますね。」
鏡で不思議な世界を作り出す渡邉。その絵本に込められたデザイン・コードとは…
【鏡の世界の入り口】
「鏡の世界の入り口を作っていますね。三面鏡の世界にワクワクするのと同じように、鏡の絵本の世界を自由に楽しんでほしいです。」
絵本『きょうのおやつは』に描かれたホットケーキの生地を混ぜているページには、ある仕掛けが…
「描かれている泡立て器の柄に手を添えると、本当に泡立て器でホットケーキの生地を混ぜているように描きました。」
さらに、大人の背丈より高いおよそ2mもの巨大な鏡の絵本まで制作。
「絵の向こう側に自分が何人も映ったりするので、より鏡の世界に入り込んだ感覚になれますね。」
制作中に何度も鏡と向き合う渡邉。実は…
「鏡に映るのはいいんですけど、テレビに映るのは苦手ですね。」