127

河野 里美
[ 影絵作家 ]

2016.10.01

 

河野里美(こうの さとみ)
[ 影絵作家 ]

1隻の船を描いた絵。一見、暗く沈んで見えるが、後ろから光を当てると…カラフルな影絵が現れる。生み出したのは、河野里美。影絵にたくさんの色を使い、繊細なグラデーションまで表現する影絵作家。

「グラデーションを見た方に“手書きで描いたの?”と言われることがあります。着色された紙を何枚も重ねることによってグラデーションを作っています。」

まずは、黒い紙を切り抜き型紙を作る。それに色のついた紙を裏から貼り付けていく。
色をいくつも重ね、グラデーションや深みを生み出す河野。
船出をする少女を描いた作品『Voyage-航海-』に描かれた太陽にはこだわりの技法があるという。

「後ろから光をあてると“透かし”のような模様が見えます。違う模様を切り抜いた紙を3枚作り、それを重ねることによって“透かし”のように模様ができます。」

影絵の概念を覆す緻密な色彩表現。そこに込められたデザイン・コードとは…

【行きたい場所】

「私が“こういう世界があったら面白いな、行ってみたいな”と思う世界を表現しています。」

多くの作品に登場する女の子は、河野自身。自分が行ってみたい空想の世界を影絵で作り出す。例えば、少女が三日月の船に乗っている作品『月の船』は…

「紫色の夜空とオーロラのような色をした海を旅している作品です。作品を作っていると作品の世界に入り込むような感覚になりますね。」

長いときで1ヶ月もの時間をかけ、一つの作品を作り上げていく河野。
作品を作り終えた瞬間に感じることは…

「作品を作り終えると切なくなりますね。“現実の世界に戻ったなぁ、はぁ~”ってため息がでます。」