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#010 2002年12月7日放送
国  名:ベトナム
ベトナムの歴史を守る考古学者
〜陶磁器に魅せられた夫婦の夢〜

TV-Asahi
西村さん一家プロフィール
西村昌也(37歳)
  範子(30歳)
放 送 内 容
今回の地球家族は、ベトナムはハノイで考古学者として遺跡や遺物を守っている西村さん夫婦です。現在、西村昌也さんは奥さんの範子さんと共に遺跡の発掘や出土品の整理研究に追われ、忙しい日々を過ごしています。





昌也さんは大学時代、教授に誘われてベトナムを訪れた後、ベトナム陶磁器の魅力にとりつかれ、8年前からハノイに住み始めました。そして、どんどん壊されていくベトナムの貴重な遺跡や遺物を守るために少しでも役に立ちたいと、発掘された陶磁器などを展示する博物館を建て、人々に無料で公開しています。




範子さんは、大学在学中にベトナム語を学び、旅行でベトナムを訪れました。茶道の師範だった範子さんはベトナム陶磁器を見て興味を持ち、考古学の世界に入り、7年前からハノイで暮らし始めたのです。二人の出会いは発掘現場で、3年間の同棲を経て昨年結婚しました。現在範子さんは妊娠中。来年5月末には待望の赤ちゃんが生まれる予定です。
西村さん夫婦の収入は、昌也さんが臨時の通訳などで稼ぐ年収14万円と奥さんの奨学金。物価が安いベトナムとはいえ、生活は楽ではありません。
しかし、そんな苦労もなんのその。ベトナムの陶磁器にかける情熱は誰よりも熱く強いのです。



ベトナムの遺跡の一つ、キムラン川岸遺跡では、昨年の発掘調査で貴重な陶磁器をいくつも発見しました。14世紀頃のお椀や大皿が出土し、ベトナムの研究者の間でも大ニュースとなりました。しかし、この貴重な遺跡が壊滅の危機に瀕しているのです。川の流れが変化して、川岸がどんどん削られており、10年後には遺跡は全て流されてしまうと予想されています。しかも発掘作業は、川の水量が少ない季節しかできません。残された時間は多くないのです。




西村さん夫婦は、その限られた時間でできるかぎりの作業をするべく、地元の学生たちとともに遺跡を掘りつづけています。
二人が今できること。それはそんなに多くのことではないかもしれません。しかし、ベトナムの陶磁器を愛し歴史を守ろうとしているのは、ベトナムの人々ではなく、異国からやってきた西村さん夫婦。「大切なこと」は外から見て初めてわかることもあるのだと改めて教えられます。
お互いに支えあい慈しみ合いながら、夢に向かって挑戦を続ける二人。
いつかきっと、西村さん夫婦の苦労が報われ、ベトナムの人々と共に喜びを分かち合う日が訪れることでしょう。

TV-Asahi