多くの国民は昨年出版された佐藤優氏の『国家の罠』で“国策捜査”という言葉を知り、今年出版された田中森一氏の『反転・闇社会の守護神と呼ばれて』で検察とは、なかでも地検特捜部とはどういうものであるか、その一端を垣間見ることができました。かつては、検察は社会正義を追及する“正義の味方”としてある種畏敬の念を持ってその存在を認められ、犯罪検挙率の高さ、世界一治安の良い国といわれる刑事司法の中心的存在でありました。しかし最近はこれまでの「検察=正義」とした見方を疑問視し、「検察のおごり」、「検察のモラルハザード」、「検察の制度疲労」、「正義の罠」等々と指摘する声もあります。
また、戦後日本の成長、発展とともにその存在を発揮してきた「地検特捜部」は、時代の推移の中で、政治家の汚職、脱税事件、金融・経済事件、談合事件など集中的に捜査をし、その事件解明を求められてきましたが、そもそも法務省所管の一行政機関であることから正義の追及には限界があるとされ、またその捜査手法も時として批判の対象にもなりました。
「リクルート事件」からまもなく20年が過ぎようとしていますが、最近の「ライブドア事件」に至るまで、地検特捜部がマスコミ、世論の支持と期待を受けて扱ってきた事件は枚挙にいとまがありませんが、その成果や問題点を冷静に検証し教訓とすることが肝要かと思われます。
そこで今回の「朝まで生テレビ」では、司法制度改革が叫ばれ、09年より裁判員制度が実施されようとしている現在、あえて“検察の正義”とその問題点をテーマに各方面の関係者の方々にご参加いただき討論してみたいと思います。
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