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reported by  
  宮嶋泰子
ソロの決勝が近づくにつれ、小谷実可子さんがそわそわしだした。
「今回ほどソリストが充実している時ってそうありませんよね。」

まさにその通り。
水の妖精、フランスのヴィルジニ・デデュー 
これまで「黒猫」に始まり、「ムーランルージュ」で天使と娼婦の二面性を表現し、
「カミーユ・クローデル」で愛を貫き狂気に陥る女流彫刻家の苦悩を表現。
今回はマリリン・モンローが歌った「イッツ・ソークワイエット」をピンクの水着で
演じ、シンクロナイズドスイミングでここまで女性のかわいらしさを表現できるということを私たちに教えてくれたのです。
 
ヴィルジニ・デデュー

誰もなしえなかった世界水泳2連覇を達成したあと、突然のナショナルチームからの引退を発表し、周囲をあわてさせたデデュー。
彼女にとって、シンクロナイズドスイミングで競い合うことはもはや意味を持たなくなってしまったのでしょう。
デデューにとってのシンクロはいまや芸術なのです。
これからプロとしての活動は未知の部分がありますが、彼女なら素晴らしいことをやってくれそうな予感がします。

デデューはこの一年間本当に苦しい生活を送ってきたようです。
インテリアデザインの勉強で試験に追われ、さらには世界水泳で二連覇をするためにこれまで以上に心肺を鍛えるシンクロの練習も行ってきました。
まさに忙殺され、精神的にもとても辛い日々を送ったそうです。
だからこそ、10点満点の表示を見ながら、2連覇を確信したときに見せたあの涙、こみ上げてくる喜びの表情があったのでしょう。

彼女を支えてくれた人々抱き合い、そっと涙をぬぐうとき、一人の女性に戻った素顔の女王の姿がそこにありました。

2位になったロシアのイシェンコ
ロシアでも怪物と言われているだけあって、大柄な体をすべて使ってパワー全開で演技する姿は、なにやらシャチを連想してしまいます。ジュニアの時代から見せるダイナミックな演技に、今回はさらに表現力も加わってきたようです。

コーチボックスを見てびっくり。
何とダンチェンココーチの横には、振り付けを専門に担当するタラソワコーチが立っているではないですか。
タラソワコーチはかつてボリショイバレー団に所属していたことのある振付師です。ブルスニキナのあの「千夜一夜物語」の手の繊細な表情をつけたのも彼女でした。

これまでタラソワコーチはモスクワのポクロフスカヤコーチたちのクラブの選手をみていました。ダンチェンココーチの教えるクラブの選手を教えることはなかったのです。

今回タラソワコーチがイシェンコを教えるというこれまでにない関わり方を見るにつけ、ロシアが挙国一致体制で、イシェンコをソリストとしてポストデデューの座を狙ってきていることよくわかりました。

二年後の世界水泳でソロのチャンピオンの座はイシェンコのものなのでしょうか。

3位に入ったのがスペインのメンガル
表現力の強さ、アクの強さは天下一品。
私がメンガルよ!と言わんばかりの演技でプールの水をすべて自分のほうに引き付けてしまいそうなパワーです。
日本人がまねできない強い表現の出来る選手です。

そして、日本の鈴木絵美子選手は4位でした。
脚の美しさは外国選手に引けを取りません。
独特の難しいスピンなど、絵美子さんならではのものもあり、さすが天才と言われるだけのことはあります。
いかり肩で、首が短く見えてしまい、立ち泳ぎが低く見えてしまうことが残念ですが、
今回初めてソロで世界水泳に出場し、堂々と戦ったことはきっと大きな収穫をもたらしてくれることでしょう。

本当にソリストが充実していた大会でした。
ソロは実際にプールサイドで見るのも良いけれど、映像でアップにした表情を楽しむのもまた楽しいですね。

さて、詳しい結果はこちらからどぞ。
http://www.omegatiming.com/synchro/racearchives/montreal2005/F74_Total_Results_Solo.pdf

    
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