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reported by  
  宮嶋泰子
世界水泳2005モントリオール、7月18日 二日目はチーム演技が行われました。
チーム演技に出場したのは17カ国。上位12チームまでが決勝に進むことができます。

相変わらず会場に一番乗りした日本チーム。
あれっ?
いつもはすぐに水に入ってウォームアップの泳ぎをするのですが、今回は、何と二人一組になってストレッチを始めたのです。
コーチが変わるといろいろなものが変わってきますね。

金子チームリーダーはこの日、早朝4時50分に起きて、おにぎりを作ったそうです。一升焚ける炊飯器はモントリオール入りするときに成田で購入したものです。私たち取材班もそのおにぎりとお餅の磯辺焼きをプールサイドでいただいてしまいました。いやはや愛情いっぱいのおにぎりです。
 
ストレッチ
金子チームリーダーは選手のためにおにぎりを作ってきたのです。
選手の熱気でプールは満杯

最初のテクニカルルーティーンでは日本は3番目に登場。
映画バンヘルシングの曲を取り入れて勢いよく飛び出します。
このルーティーンは小川雅代コーチが作ったものです。

テクニカルルーティーンは決められた要素をきちんと織り込みながら、さらに、その国らしい動きを入れて作っていかなければならないもので、小川コーチは特にスローパートをどうするかでかなり苦労したとのことでした。

アテネ五輪の後、引退した選手たちが出て、5人が新しい選手となりました。一人一人はまだまだですが、みんなの力を合わせれば、強い力にかわっていきます。
一人一人の力を総合して、束としてみてもらえるようなものにしたいというコーチの思いは選手たちにきちんと伝わっていました。

パワフルです。
テクニカル要素もしっかり見せていきます
元気いっぱいの日本チーム

■日本の得点は以下の通り
EX:9.8  9.8  9.7  9.8  9.7
OI: 9.8  9.8  9.8  9.7  9.8

高い得点が出ました。

6番目に登場したのがスペイン
今回メダルを狙っています。
6月に行われたローマオープンではエースのメンガルをチームメンバーに入れずに日本に僅差で負けただけに、今回はエース投入。さらに結束を固めてきました。2年半前からスペインで技術コーチをしている藤木麻由子さんの力もあって、ひとりひとりのテクニックがかなりうまくなってきました。テーマ曲はカルメン・アマヤ作曲のフラメンコ祭り。

■スペインの得点
EX: 9.7  9.7  9.8  9.7  9.5
OI:9.7  9.7  9.7  9.8  9.7


ジャッジ
EX:1、オーストリア、2:カザフスタン、3:米国、4:イタリア、5:エジプト
OI:1、カナダ、2:オーストリア、3、ブラジル、4:ドイツ、5:チェコ


日本がスペインに対して、決勝に進んだときの持ち点で0.583ポイントリードします。
これは日本に追い風が吹いている、そんな感じでした。

夕方からのフリールーティーンに備えて芝生の上で軽い休息をする日本選手たち。
とにかく、湿度が80%以上、気温も30度以上、汗が滝のように流れる悪コンディションの中での試合。みんなが体調の維持に懸命です。

芝生の上で休息
日本に風が吹いている

そして、夕方5時から行われたフリールーティーン予選。
ここでまたまた大変なことが起きたのです。

日本はテクニカルルーティーンの時には入っていなかったエース鈴木絵美子が入り、小西が抜けます。
THE PRODIGYからとった曲でスピードと勢いのある演技を展開。
これまでになくまとまった演技でした。

TM: 9.6  9.8  9.8  9.7  9.8
AI:9.8  9.7  9.6  9.6  9.7


日本を追うスペインはオリンピックと同じテーマ「ダリ」で臨みます。あえてテーマ曲も構成も変えなかったのは、3人の新人が加わり、新しいテーマで臨む余力がなかったからといいます。同時に世界水泳でどうしてもメダルがほしいという強い思いもあったといいます。
本当に見事にまとまっていました。こんなに技術的にも失敗のないスペインは始めてみたというくらいの出来でした。

TM: 9.8  9.8  9.7  9.8  9.7
AI: 9.8  9.8  9.9  9.7  9.9

ジャッジ:
TM 1:スイス、2:ブラジル、3:カナダ、4:オーストリア、5:ロシア
AI 1:日本 2:スウェーデン 3:米国、4:メキシコ、5:スペイン


何と、このフリールーティンだけの得点ではスペインが98.000
日本が97.166とスペインが圧倒的に勝っていたのです。
先に行われたテクニカルルーティンの得点とプラスして、予選の順位が決まります。

計算をしてびっくり!!
スペインと日本が同点で並んでいるではないですか。
その結果を聞いたスペインチームの喜びようは大変なものでした。
お互いに抱き合い、さらには次の闘いへ向けてみんなで雄たけびを上げたのです。
ありゃ?雌たけび???というべきでしょうか。(笑)

予選の順位は上位12チームを決めるためのものです。決勝の持ち点となるのはテクニカルルーティーンの得点ですから、まだ少し日本がリードしていると言っても良いのかもしれません。でもお尻に火がついた感は否めません。

これで益々決勝が楽しみになってきました。

やっぱりロシアは凄い!
ロシアの隊形変化は見事です

さて、日本とスペインの2位争いのことばかり書いてきましたが、トップはもちろんロシア。日本のシンクロ界を長い間牽引してきた井村コーチは引退しましたが、ロシアのポクロフスカヤコーチは健在です。彼女はマイナーコードのおどろおどろしい音楽で強い動きを中心にした展開を得意にしていましたが、その傾向が他国にも及んで流行し始めると、今度は本当にきれいな華やかな、楽しいシンクロを作り始めたのです。

■ロシアのスコアーをお伝えしておきましょう。
テクニカルルーティーン
EX: 9.9  9.9  9.9  9.9  9.7
OI: 9.9  9.9  9.9  10.0 9.9

■午後行われたフリールーティーン
こちらはアテネ五輪のときと同じものです。
TM: 9.9  9.9  9.9  9.9  9.9
AI: 9.9  9.9  9.9  9.9  9.8

それはそれは見事な動きでした。
このフリーの演技は実はプレスイマーが泳いだ後の、最初の演技だったのです。
最初の演技をした人に9.9という得点を出すのはジャッジにとってもとても勇気の要ることだそうです。出させてしまう力を持った演技でした。私は実はひそかにポクロフスカヤコーチのファンで、毎回どんな演技を見せてくれるか、とても楽しみにしている一人なのです。

ポクロフスカヤコーチは天才型

ところで、お伝えするのをすっかり忘れていました。
北朝鮮チーム、なかなかやりますよ。

アクロバティックなパートが素晴らしい。飛び物はお得意ですね。体が柔らかいので、残像に残る姿が本当に美しいのです。

一人一人の技術では本当にしっかりしたものを持っているだけに、もう少しみんなの間隔を狭くしてスピーディーな動きが出来るようになれば、トップ10にあっという間に入ってきそうな勢いです。
結果は13位。スイスを破って12位になれば決勝に残れたのに・・・・

なかなかやりますよ
アクロバティック系は得意
脚はなかなかきれい

でも、次点ということで、決勝のプレスイマーになることが決まったのです。
プレスイマーというのは競技に先立って、ジャッジたちの基準塾利をするために演技をする役です。
会場を後にするコーチたちの表情は、これまでになく和やかでした。

シンクロのチーム演技は本当に面白いとつくづく思った一日でした。

    
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