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  reported by
宮嶋泰子

20日デュエットテクニカル決勝


世界のシンクロ勢力図が変わり始めている。


ロシア、日本、スペイン、アメリカ、カナダ、中国・・・
どの大会に行っても、どの種目になってもこの順位はおおよそ変わることはなかった。
しかし今回は、種目によって順位がめまぐるしく変わっているのだ。シンクロナイズドスイミングという競技が俄然面白くなっている。


ジャッジたちの控え室でも「今回は国による固定概念を捨てよう。しっかりその競技を見て得点をつけよう」というムードになっているそうだ。ジャッジによって見る視点は微妙に変わってくる。高さを評価する人。柔軟性を見る人。硬い締めを評価する人。それぞれがなぜこの評価点をだしてくるのかが、ジャッジ同士理解しあうようになってきているそうだ。偏見を捨てて採点に臨むところに、変化は生まれてくる。


今回ほど国によって演技の特徴が明らかな大会も少ないだろう。チームではロシアのバレエ的表現、日本の平面的ではあるが切れのある演技、クリエイティブでパワーのあるスペイン。芸術的な隊形変化で見るものを釘付けにするアメリカ。各国が自分たちの特徴をすべて出す作品で勝負しているのだ。ジャッジの口から「今回ほど採点をしていて楽しい大会も珍しい」という言葉が漏れたほどだ。


デュエットテクニカルの台風の目は中国だった。双子の蒋姉妹wenwen(文文)とtintin(婷婷)は姉が174センチ、妹が176センチの長身で、細く美しい脚を持っている。
井村雅代さんが中国ナショナルヘッドコーチに就任してまず行ったことが、パワーを感じさせる演技をさせること。


双子の蒋姉妹

今回メルボルン入りしてからも井村コーチの指導を受けてめきめき上達する蒋姉妹の姿が見られた。アテネ銀メダリスト武田美保さんも「日に日にうまくなっていきますね。」と感嘆の声を上げる。井村マジックとでも言うのだろうか。会場入りしてから、選手たちに100%の力を出させる独特の指導法を井村さんは持っているようだ。武田美保さんはそれを「スイッチを入れる」と表現した。


井村マジックでスイッチを入れられた蒋姉妹がテクニカルルーティーン決勝で、4位に入ってきた。優勝はロシア、2位がベテランのスペイン、3位が日本。そして4位に中国だ。もうメダルに手が届くところまできたのだ。

これまで中国デュエットといえば、世界水泳では01年7位、03年6位、05年6位と、アメリカ、カナダの壁を破れずにいたが、昨年の横浜のワールドカップでようやく5位まであがってきた。それから半年後の今回4位にランクアップ。北京五輪でのメダルは射程距離に入ってきた感がある。

しかし、井村コーチは楽観していない。「世界一美しい脚であることはみんなにわかってもらえたと思う」と言いながらも、「なぜ審判が9.5を出すのか考えている。何が9.5に見えてしまうのか。きっとそれはあの美しい脚が細すぎて頼りなく見えるのではないか。」と分析をする。これから一年半、どうすれば点が取れるデュエットになるか模索する日々が続く。


長身のすらりとした選手ばかり

デュエットテクニカル決勝は結果はこちらから。
http://www.omegatiming.com/synchro/racearchives/2007/melbourne2007/
C73_Results_Technical_Duet_Final.pdf

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