Vol.40「猫の目判定・女子800Mリレー日本銅メダル!
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26 AM14:42 Reported By 宮嶋泰子
うれしい四人
 

一体こんなことってあるの?

女子800mフリースタイルリレーは結果が大混乱。
リレーは前の選手がタッチしてから次の選手が飛び込まなくてはならない。これは常識。

昔は審判員の目で確認するだけだったが、今はコンピューターで、数字が出てくるから、はっきりしている。
と思いきや、意外な落とし穴があった。自動判定装置が正確に作動しているかどうかを誰がどのように判断するのか。

まずはレースを最初から振り返ってみよう。
日本の女子は日本新記録をマークして5番目にゴールイン。

何がなんだかわからない!
 

1着 オーストラリア
2着 米国
3着 ドイツ
4着 英国
5着 日本
6着 カナダ
7着 スペイン
8着 イタリア

なんと、オーストラリアはまだ最後のイタリアのアンカーが泳いでいるのにもかかわらず、
喜びのあまり、すでに泳ぎ終わった選手がプールに飛び込んでしまったのだった!!

この瞬間、一着だったオーストラリアから優勝が逃げていった。
ああ、「ぬか喜び」・・・。

喜んだのは金メダルを手にすることになった米国だった。

三位がコールされた瞬間
 

ところが、数分後、米国も失格と発表される。
そして、なんと日本が繰り上がりで、3位、銅メダルと場内放送が流れた。

三田真希、永井、萩原、山野井の4人は抱き合って大喜び。
「棚からぼた餅」とはいえメダルはメダル。
日本新記録に更に大きなおまけまでついて、もう気分は最高!

1位ドイツ、2位英国、3位日本。
4人の選手たちは意気揚揚と表彰式会場に向かった。

ところがそのとき・・・・
「女子フリースタイル800mリレーの表彰式は、明日行われます」との突然の放送。
一体どうしたの?

自動測定装置の結果
 

プールのゴールのところにはセンサーがついたタイマーが設置されていることはもうご存知の通りだ。そして、スタート台のところにもセンサー付のスタートタイマーが取り付けられている。

タッチパネルに選手の指が触れてから、0.01秒後に次の選手の足がスタート台から離れれば、何も問題はない。記録には+0.01と記録される。

タッチパネルに選手の指が触る0.01秒前にスタートすれば、−0.01と記録される。

今回アメリカチームの第1泳者と第2泳者の間は、最初−0.06と記録された。
0.03秒までは許されるが、0.06では明らかに失格である。

ところがアメリカチームは、
「確かに引継ぎは正確に行われたので、バックアップシステムをみせて欲しい」と抗議をした。

この自動計測装置のバックアップシステムを見てみたら・・・・・・・これが大変!
−00.1と出ていたのだ。
表の数字と裏の数字が違っていた!

大混乱
 

急遽、アメリカの抗議が受け入れられ、最初のリザルトが更新されて2枚目のリザルト−0・01が発表された。

米国が優勝、ドイツが2位、英国が3位となり、会場で行われるはずだった表彰式は直前に中止。ああ日本はまた4位に逆戻り。ぬか喜びだったのか・・・

しかし、これを聞きつけたイギリスと日本が正式に抗議文を提出。その内容は・・・

「本来公式記録の測定は正式な自動測定装置で行われるべきもので、
バックアップシステムを採用すべきではない。」
というものなのだ。

アメリカの抗議があって、更にイギリスと日本の抗議で、すべては翌日まで凍結・・・

(一夜明けて)

今朝9時半から国際水泳連盟の裁定委員会が開かれ、その結論は以下のとおり。

1.オーストラリアチームは全員のレースが終了していないうちにプールに飛び込んだので失格
2.米国はリレーの引継ぎで、自動測定装置が−0.06と表示するとおり、
早く飛び込んでしまったため、失格となる。
自動測定装置がー0.03までは許容範囲であるが、それ以上は認められない。
よって失格である。

公式記録最終順位
 

一体この大混乱の元はどこにあったのか?

考えれば、米国の抗議を受けて、バックアップシステムの数字を認めてしまったことにあるのだろう。一人の役員が何気なく判断したことで、起きた混乱だ。
米国も「バックアップシステムの数字を見せろ!」などと、ずいぶん強引な抗議をするものだ。

どんなハイテクメカがあろうとも、最後は人間の判断によるのだから、審判たるもの、責任は重大だ。世界水泳のすべての数字が信じられないものになるところだった。

日本の銅メダル獲得の朗報の裏にはこんなごたごたがあったのだ。
 

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