1. トップtop
  2. アナウンサー一覧
  3. パーソナルコラム
  4. バックナンバー
身長
165cm
出身地
神奈川県川崎市
出身校
神奈川県立多摩高校→
中央大学文学部
入社年月日
2005年4月1日
星座
獅子座

2018/3/9 「野獣」に乗って逃避行

朝日新聞GLOBEとAbemaとのコラボ企画
「Abema×GLOBE」。
テーマは「『野獣』という名の列車をたどって」。

「野獣」と呼ばれる列車は不定期にやってくる。
そこにはアメリカを目指す、
中米の国々から来た移民たちが乗り込んでいる。

座席などない。
彼らは屋根に乗ったり、梯子にしがみついたりして
必死に、本当に命がけで北を目指す。

雇用を求めるためだけではない。
これは命を守るための、逃避行なのだ。

「野獣」の背中に乗る移民たちの中には
幼い子供たちが大勢含まれている。

なぜ、こんな小さな子供たちが
危ない逃避行を続けなければならないのか。

にわかには信じ難い、
こうした光景を取材したのが、
朝日新聞 村山祐介記者だ。

前回、「壁がつくる世界」というテーマで
アメリカとメキシコの国境を取材し
今回はその続編とも呼べる取材だ。
迫力の映像とリアルな取材内容を聞かせてもらった。

中米の国々。
エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス。
「北の三角地帯」と呼ばれ
経済の低迷や治安の悪化などを理由に
アメリカを目指す移民が絶えない。

村山記者は、学生時代にも訪れたことがある
エルサルバドルを目的地に定め、
移民たちとは逆のルートで取材を進めた。

そこで目の当たりにしたのは
救いようのない「負の連鎖」。

資源も産業もない。
新たな国づくりの目玉とした港作りにも失敗。
経済はますます低迷する。
仕方なく人々は職を求めて、移民としてアメリカに渡る。

その子供たちは国に残される。
青少年のギャング集団「マラス」が
はびこるなか、
家族や共同体といった心の支柱をなくした子供たちは、
「マラス」の仲間になって犯罪に手を染めるのか、
もしくは「マラス」に殺されるのかという選択を迫られる。

どちらも選びたくない、という子供たちが
あの「野獣」に乗り込み
一か八かの勝負でおよそ2600キロの逃避行を試みるのだった。

なぜ「マラス」はそんな貧しい移民を狙うのか。
お金を持っている人や外国人を
狙えば良いのではないか?という疑問がわく。

「野獣」で逃げる人たちを支援する
施設の主任はこう言ったそうだ。

「誘拐すれば最低で3000ドル。
お金はアメリカにいる親族に払わせれば良い。
正規に入国していないから表に出たがらない。
彼らは格好のカモなのです」と。

ただし、この凶悪な「マラス」もまた、
かつては同じようにアメリカへと逃げ強制送還された移民だったことも
忘れてはいけないと思った。

内戦や紛争の地域として指定されているわけでもない
この地の、この余りにも酷い状況は、まだまだ世の関心も薄い。

まるで映画のようだ、
現実のことだなんて信じられないという言葉しか
わたしには出てこなかった。
直視出来ないからなのか、現実であって欲しくないからなのか…。
憤りと絶望と無力感が一気に押し寄せて
頭が混乱する話だった。

どうにも出来ない「負の連鎖」に、
村山記者自身も、悩み、絶望したという。

しかし、少しずつではあるがたしかに希望の光は見えたと
最後に記者は明るい表情で話した。
希望が持てる話の詳しいところはぜひ本編で確認してほしい。

朝日新聞GLOBEとAbemaとのコラボ企画
「Abema×GLOBE」。
3月10日(土)夜6時から放送します。
それ以降も「Abemaビデオ」で見られますのでぜひご覧ください。

このページの先頭に戻る