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5月27日 上海取材記


少し前の話です。
担当する「スーパーJチャンネル」の取材で上海へ行ってきました。
上海万博の5月1日の開幕にあわせて9日間。
初めての海外取材でした。



なぜか早朝から太極拳を教わる…。

初めてといえば、上海は5年前私が大学生の頃に初めて
ひとり旅に出かけた思い出の場所です。

着いてみて、驚きました。
都会だった上海は、驚くべきスピードでさらなる都会に進化していたんです。
まるで街そのものが生きているかのよう。
ボーっとしていると飲み込まれてしまいそうなエネルギーを感じます。



高さ世界一の展望台のある上海環球金融中心(通称:上海ヒルズ)からの景色。

しかし自分の足で歩いてみると、この上海という街が
ただの大都会ではないということが分かります。
数億円のマンションに”お手伝いさん”3、4人と住むおじいさん、
可愛い小型犬を何匹も連れてブランドに身を包む女性もいれば、
パジャマで堂々と大通りを歩く女性や、
ちょっと道を入ったところには街路樹や電線に干された無数の洗濯物が。
開発真っ只中の部分と、昔ながらの生活が見事に混在しています。



洗濯物が、あちらこちらに。

そんな上海で、ついに万博が開幕しました。
中国としては自国の発展ぶりを国際社会へアピールする絶好のチャンスです。
テーマは『より良い都市、より良い生活』



「世界中の人に上海のいい部分だけを見てもらいたい」
そういった気持ちがあるのでしょうか?
万博開催を前に、パジャマ姿での外出も洗濯物を外で干すことも禁止となり、
貧困層の人たちが暮らす長屋は3メートルの高い壁に隠されてしまいました。



ここは立ち退きが決まっているエリア。一部はすでに取り壊され瓦礫の山に。

別にこんな風にしなくても、この街を恥ずかしいなんて少しも思わないのにな。

いつもと変わらない様子で長屋の台所で夕飯の支度をするお母さん。
そのすぐ隣では高層ビルが次々と建設されていました。

今回の取材では、目に見えて感じたものを言葉にするということの難しさを
痛感しました。
(今この場所にいる私しか、伝える人はいないんだから。)
そう思い五感をフル回転させても、うまく言葉が出てこない。
これではだめですよね。情けないです。
ディレクターもカメラマンも今回は私に任せてみようと思っていたようで
悩み、立ち止まりながら、最終的に感じたままを喋れるようになるまで
じっと辛抱強く付き合ってくれました。

ディレクター、カメラマンだけでなく、海外支局のスタッフの方、
現地で通訳や取材の手配をしてくれるコーディネーターさん、
早朝から夜中まで安全に運転してくれたドライバーさん、
他にも多くの方にお世話になりました。
「みんな八木の海外初中継を成功させようって
内緒で中継の何時間も前から現場で準備してくれてたんだよ。」
日本に帰る前日の夜、こっそり教えてもらって
何だか泣きそうになりました。

チームワークで成り立つ仕事だという当たり前のことを改めて教わった
あっという間の9日間。
課題は山積。
でもやっぱり私は取材に出かけるのが好きです。



万博開幕の前夜祭、10万発の見事な花火を背に。
   
 
    
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