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Vol.74 「2008→2009」(2009/01/12)

ご無沙汰しております。
新年のご挨拶を…と思いつつ、来るは早くも、新年度。
時の流れは、牛歩の如くいかないようで。

随分と前のことに思えますが、年末年始の雑記です。



大晦日。
早朝勤務を午前中に終えて、買い出しに走る。
夕飯はすき焼きに決めていた。丑年を、牛で迎える意。
無理があるとは分かりつつ、急いで食品売場に向うも、
着いた時には初売り並みの大混雑。
精肉コーナーはまさかの一時間待ち。
あ、鶏肉も一緒に買おう。同時並行で、お雑煮も作らないと。

元日。
前日に作ったお雑煮を朝食に。我が家は、父の故郷の瀬戸内海・水軍風。
干しカレイで出汁をとり、焼き穴子、瀬戸貝、白菜、金時人参、鶏肉、蓮根、里芋、
大根、椎茸、油揚げ、丸餅…を大きな鍋に入れて、大きめの器で豪快に頂く。


“和風ブイヤベース”といったところです

「おめでとうございます」
出勤すると、報道フロアには門松が飾られていた。
社員食堂のメニューも、いつもより品数が多い。
海老チリ、焼売、胡麻団子。思わず「炒飯大盛りで!」とオーダーする。
夜になって、深夜出勤の先輩と引き継ぎ。
脱いだダウンジャケットから、尖った冷気が立ち上る。
「商店街、どこも閉まっててさぁ…」と、お菓子をたくさん差し入れに。
「よし、やるか!」祝日の職場には、まるで学園祭の時のような連帯感が生まれる。

1月3日。
遅れて取る年始休暇。
そろそろカレーが食べたくなるが、鍋にはまだお雑煮が残っている。
黒豆や数の子で箸休めしながら、今日の予定を考える。
向かった先は、演芸場。生まれて初めての初席。
落語が始まる前の「枕」では、時節柄、紅白歌合戦や初日の出の話題が多い。
むろん、よく笑った。
 
1月4日。
遅ればせながらの初詣。
屋台で甘酒を飲み、おみくじを引く。鳥居には、既に西日が射していた。
夕飯は、満を持しての牛すじカレー。
 
洗濯物を取り込もうと、窓をガラッと開ける。 
橙の日暮にうっかり決意表明など思いつきそうになるが、
寒さに負けて部屋に戻った。
ここ数日、東京の空は澄んでいる。


(「日刊ゲンダイ 週末版」1月12日発刊)
   
 
 
    
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