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Vol.50 3月13日 『つみきのいえ』

今回ご紹介するのは、
第81回アカデミー賞で、短編アニメーション賞を受賞した作品です。


 





©ROBOT
 


人生が長いのか短いのかなんて、
この12分間を前に、意味をなさない気がします。

まるで「積み木」のような家。
海面が、どんどん上がってくるので、
家を上へ上へと建て増し続けてきました。
そんな家に住んでいるおじいさんは、
ある日、お気に入りのパイプを落としてしまったことから、海の中にもぐります。
 

妻との別れ。
娘の結婚式。
新しい家。

時間を遡り、
深く、辿る。

重ねた積み木は、おじいさんの生涯?
横に並べられる煉瓦は、繰り返される日々?
せりあがる海面は、地球の温暖化?
象徴化したり、具現化したり、何かと分析したところで、
答えなど出るはずもなく。

忘れていたあの頃。
とか、
忘れられないあの思い。
とか。

あの―。
魔法の指示語は微塵の計算もなく、平易な軽率さもなく、
観る者一人ずつの、あのシーンを呼び覚まします。
あ、の。
二文字のインクタンク。
ふるふると揺れながら、水彩タッチの世界を織り上げます。
とはいえ。
夢の世界ではなく、
ささやかで、時に辻褄が合わず、
そのくせ重い腰を上げられていないことも承知で。
現実のざわめき。
そんな日々。

誰と出会いましたか。
誰と別れましたか。
雨が降ったり、お腹が空いたり、好いたり、諍ったり。
時間は身の上を淡々と、ただただ流れてゆく。

深く、巡る。
人生は、帰り道だと思うのです。
いや、帰る道かな。
あの場所に。
 
  

♪作品データ♪
『つみきのいえ』
監督・アニメーション: 加藤久仁生
脚本: 平田研也
音楽: 近藤研二
※TOHOシネマズ六本木ヒルズ他にて、凱旋上映が決定しました!
『つみきのいえ』公式サイト
http://www.robot.co.jp/tsumiki/
   
 
 
    
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