身長
170cm
出身地
福岡県福岡市
出身校
日本女子大学附属高等学校→
日本女子大学
入社年月日
2001年4月1日
星座
蠍座

2014/8/8    「情と理」

「緊張しています」

田原総一朗さんがそう仰るのを初めて聞いた。
先日、『激論!クロスファイア』放送200回突破記念として、
田原さんの母校である早稲田大学で公開収録が行われた。
ゲストは、ジャーナリストの池上彰さん。
意外にも、今回が初対面だという。
お二人を師匠と仰ぐ津田大介さんをコメンテーターに迎えて、
池上さんの言葉を借りれば「老壮青」各世代のジャーナリストが集った。


楽屋にて

番組としては、これだけ舞台が整った状態でどのような内容を提供するかが課題だ。
事前取材を重ねた上で出た結論は、“池上さんに解説してもらわない番組”。
様々なニュースを分かり易く紐解く一方で、
一貫して持論は述べない池上さんの主義主張を知りたい。
「メディア論」といった大枠こそ決めながら、議論を通じて各人の人間性が窺えたら―。
何を聞いても答えて下さる池上さんと、何を聞かれるか分からない田原さん。
裏テーマは、さしずめ「池上彰考」「田原総一朗考」でもあった。

「ゲストには、あらゆるジャンルでご活躍中のこの方をお招きしました!ご紹介します」
「今はねえ、どこに行っても池上さんの本が並んでいるからね」
「…もう、お名前を仰ってしまいました」

約400人集まった観客席を前に、数分前まで「緊張しています」とこぼした田原さんだが、
普段通りのペースで質問を投げかけ、返答を最後まで待たずして次の話題に移り、
くるりと振り返って「津田さん、どう?」
やっぱり、田原さんだ。

一方で、池上さんは「田原さんは本当に、話に割って入って来て、
取っちゃうんですねえ!」
選挙特番でおなじみの、歯に衣着せぬ批評。
やっぱり、池上さんだ。

番組の終盤、「メディアは情と理のバランスをどう取るか?」という話題に及ぶ。
理屈だけでは人の心には響かない。
かといって、情緒に傾き過ぎれば本質を欠く。

田原さんは、常に取材相手とは出刃包丁を持って心中するつもりで向き合うと明言する。
漲る思いに気圧されつつ、情だけかと言えばそうではない。
そんな田原さんの座右の銘は、「しなやかに、したたかに」

「情だけで、世の中は動きませんから」淡々と池上さんが続ける。
万人に世の中を伝えるには、理を鍛えなければならない。
「だって、情だけでは、空しいですよね…」
理の欠如もさることながら、伝わらないことが「空しい」。
伝え手としての情が、みるみるとこぼれていくさまを見た。
「情があるから、ジャーナリストになったのです」

全ては、伝えるために。
異なるスタンスを纏いながらも、老壮青、同じ場所にいた。



(7月28日配信)   

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