身長
170cm
出身地
福岡県福岡市
出身校
日本女子大学附属高等学校→
日本女子大学
入社年月日
2001年4月1日
星座
蠍座

2014/3/17    「ゆるす女」(追悼・岩見隆夫さん)

政治評論家の岩見隆夫さんが亡くなった。
岩見さんには、新人の頃に担当した早朝番組のコメンテーターとしてご出演頂いていた。
毎週火曜日。参院選に出馬する前の丸山和也弁護士との掛け合いが絶妙で、
「昨日は飲み過ぎましてなぁ」と岩見さんが赤い顔でスタジオに到着すると、
「昨日?今朝方でしょう」と丸山さんが切り返す。お互い、大のお酒好きだった。
番組内では、政治以外にも様々な事象を取り扱う。
芸能ニュース、殊更結婚や離婚の話題になると、決まってこう仰った。
「結婚なんて、当てになりませんからなぁ。わはははは!」


2005年の番組納涼会
隅田川を下る屋形船で、岩見さんと

当時の私は、夕刊紙にコラムを連載していた。
その中で、岩見さんとのやり取りをこのように綴っている。

妻のことを…。

愛しているけれど、「愛している」とは言えない。
愛していないから、「愛している」とは言えない。

長年連れ添うと、夫婦には、時として様々な壁が立ちはだかるらしい。
だが、結婚とは、元来互いに愛し合ってするものだ。
未婚の私は希望的観測を踏まえ、そう信じている。

妻をめとらば才たけて 見目麗しく情ある…

歌人・与謝野鉄幹作「人を恋ふる歌」の冒頭部分である。
結婚の相手には、聡明で情が深く美しい女性が良い。
旧制三高(京都大学)の寮歌でもあるこの歌に、
番組コメンテーターの岩見隆夫さんも、学生時代に慣れ親しんだそうだ。

「岩見さんも当時、このような女性が理想でしたか?」
「まぁ、そうだなぁ…」
「では、愛の告白は?」
「そんなこと、できんよ!」

秘めたる想いを抱いていても、相手に告白することなど、到底なかったらしい。

(「日刊ゲンダイ」2005年2月5日より抜粋)


自分から、愛の告白は出来ない。
但し、結婚は当てにならない。
面映ゆさが滲む一方で、達観している岩見さんの人生観。
10年前の私には謎だらけであった。

その後。
結婚することになり、岩見さんには式でのスピーチをお願いした。
ご本人曰く、「当てにならない」結婚たるや―?

「世の中には、二種類の女性がいます。ゆるす女と、ゆるさない女。
どうか新婦には、前者であって欲しいですなぁ」

ゆるす女。
許す?赦す?
笑いに包まれる会場の中、隣でそわそわする新郎を見ながら、
早速、その言葉を受け入れる胆力を問われている気がした。

先日開かれた岩見さんの「お別れの会」には、
安倍総理大臣をはじめ、各界から約600人が出席した。
夫婦で白いバラを献花し、写真の中で微笑む岩見さんに手を合わせる。
奥様は、イングリッシュガーデンづくりがご趣味で、
毎年、四季折々の花々の写真で手製のカレンダーを作られていた。
鮮やかな12カ月をめくり終わると、裏表紙には庭で微笑むお二人の写真が小さく載る。

愛の告白など、できんよ。
かつての言葉を思い出す。
でも、岩見さん。
献杯でなく、献花。
奥様の大好きな、お花です。



(3月10日配信)   

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