- 170cm
- 福岡県福岡市
- 日本女子大学附属高等学校→
日本女子大学 - 2001年4月1日
- 蠍座
「アベノミクスって何?」
「TPPに、賛成?反対?」
スタジオでも打合せでも、
田原総一朗さんからの問いかけは絶え間なく続く。
放送開始の30秒前であっても、それは同じだ。
「女性って、なんでいつも暗いの?」
視線の先は、焦げ茶のタイツ。
「白とか黄色とか、他にもあるじゃない」
自分の“足元”が話題だと把握するまでに、数秒かかった。
「最近は、おしゃれなカラータイツもありますよ」と答えようとしたが、
本番5秒前を切ったところで、叶わなかった。
政治、経済、外交、ファッション。
田原さんからの問いかけは、オールジャンルだ。
先日の打合せでは、TPPについて一通り議論した後、
「…村上さん、真理って何だと思う?」
最近になって、哲学をもう一度学び直したいそうだ。
思いがけないファッションチェックの、翌週。
この日の衣装には、
スタイリストさんが、鮮やかな紫紺のタイツを用意してくれた。
「あ、かわいい」
「これだったら、暗くないよね!」
脱・暗色タイツ。
我々で、密かに企てた計画だ。
本番5分前。
スタジオに入り、田原さんの隣に立つ。
「今日は、明るくしてみました」
こっそりと自分の足元を指さすと、「あ、本当だね」
「いかがですか?」
「…」
まさかの沈黙。
田原さんが答えないことは、今までなかったはずなのに!?
数秒ののち―。
「赤が、とってもセクシーですね?」
赤…ではなく、紫紺のつもり。
地厚のタイツ(80デニール)は、どちらかと言うと機能重視だ。
「真理って何だと思う?」
以前、田原さんに問われたことを思い出す。
目の前のタイツは、タイツである。
でも、誰かにとっては、違うのかもしれない。
色も、赤いのかもしれない。
セクシーかどうかは…。
今だったら、こう答えよう。
沈黙が、真理です。
あ、放送が始まる!
放送100回を記念して、ポスターを作って頂きました