村上祐子

身長
170cm
出身地
福岡県福岡市
出身校
日本女子大学附属高等学校→
日本女子大学
入社年月日
2001年4月1日
星座
蠍座

2015/3/19  「デモとアラレ」

「若い人が、デモに行かなくなった」
そう嘆いていたのは、田原総一朗さんだ。
田原さんとの初対面は2010年。
ご挨拶後、忘れもしない第一声は「ねえ、どう思う?」
今の世の中への問いかけだった。答えを待たずしてさらに続ける。
「デモには行かないの?」
鳩が豆鉄砲を食ったような私の顔を見て、冒頭の言葉に戻る。
あれから5年。
東日本大震災が起き、政権交代を経て第二次安倍内閣が発足し、
国際情勢も安全保障環境も大きく様変わりした。
今や、デモは頻繁に行われるようになり、
原発再稼働や特定秘密保護法案に反対する人々が、首相官邸前や代々木公園に集う。
かつての全共闘世代のみならず、若い人たちも。

「若い人は、デモで手をつながなくなった」
そう驚いていたのは、作家の高橋源一郎さんだ。
先日、文筆家の平川克美さんと哲学思想家の内田樹さん、
高橋さんとの対談にお邪魔した。
大学で教鞭を執るお三方曰く、最近はデモに参加する学生が増えたという。
ある時、高橋さんが生徒たちと官邸前に出かけた際、
ご自身の学生時代とは全く様相が異なったそうだ。
「体が少しでも触れないように、お互いに微妙な距離を置いて歩いているの」
「手はつながない?」
「もちろん。肩なんて絶対に組まない」
「身体感覚が違うね。接触を嫌がるんだ?」
やっぱり、若い人たちは草食系なの?というつぶやきに、会場からは笑いが起きる。

「最近は、若い人がデモに行くようになりましたね」
対談の翌日。田原さんとの打合せが終わった後にさり気なく話しかけてみる。
「時代が変わってきたねえ」田原さんが嬉しそうに答える。
「でも、彼らは手をつながないそうです」
高橋さんたちのお話をひとしきりお伝えすると、
「へえ、面白いね。やっぱり、今の若い人は、植物…」
「草食系ですか?」
「そうそう」
田原さんもデモでは手をつなぎました?と伺ったら、
手どころか、見知らぬ両隣どうしでスクラムをがっちり組んでいたらしい。

その時、はっと思い出した。
田原さんの著書の中で、初恋の人について綴った箇所がある。
当時高校生の彼女がアラレをくれようとして、手のひらに載せてくれた時のことだ。

「まだ女性の手を握ったこともなかった頃のことである。
私はそのアラレを前にドギマギしてしまった。
そして、彼女の手に触れないようにしてアラレを取るにはどうすればいか、真剣に考えた。
考えた末に閃いたのは、一個一個つまむように取ることだった。」

(『80歳を過ぎても徹夜で議論できるワケ』)

デモに行く人も、行かない人も。
若い人たちに「ねえ、どう思う?」と聞いてみたい。


「激論!クロスファイア」は、4月で6年目を迎えます。



(3月8日配信)   

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