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9月15日 プレイバック・報道ステーション企画
『タンザニア難民キャンプ』

UNHCR、国連難民高等弁務官とご一緒に初めて仕事をしたのは2007年の4月のことでした。ネパールの難民キャンプにバレーボールの五輪金メダリストたちと一緒に行き、そのドキュメンタリーを制作しました。そして今年の2月には二度目のお付き合いをさせていただきました。

往年の名ランナー瀬古利彦さんと一緒にタンザニアにあるブルンジ難民のキャンプに行き、その模様を報道ステーションの特集で放送いたしました。そのことに関しては既にこのページでもご報告いたしましたので、おぼえていらっしゃる方も多いと思います。

プレイバックシリーズ第四弾は、今年の5月1日に放送した「瀬古利彦タンザニア難民キャンプ駅伝」の概要をお伝えいたします。 *******************************************************************

プレイバック・報道ステーション企画
『Africa Tanzania』




宮嶋泰子:「スポーツの持つパワーを難民の人たちに伝えたいと、このアフリカの大地で日本の駅伝が行われました。」

それはかつての名ランナー瀬古利彦さんが企画した難民キャンプでの駅伝です。


宮嶋泰子


瀬古利彦さん 52歳

インド洋に面したタンザニアの中心都市ダルエスサラーム


ダルエスサラーム (タンザニア)

瀬古利彦:「びっくりしたね、サプライズだよ。イカンガー 元気??」

タンザニアに到着した瀬古さんを出迎えたのはかつてのライバル、ジュマ・イカンガーです。実に15年ぶりの再会でした。

世界最強のマラソンランナーといわれていた瀬古利彦選手。1983年の福岡国際マラソンでのデッドヒートは今でも語り継がれているほどです。


ジュマ・イカンガーさんと再会


1983年 福岡国際マラソン

かつてしのぎを削りあった二人が、行動をともにすることになったのです。
イカンガーも一度だけ、日本でタスキをつないだ経験があります。

イカンガー:「私があなたにたすきを渡す、あなたはほかの人にそれを渡す。伝えていく、とてもいいイメージです。パワーを交換しあう。それも暴力や犯罪を通してではなく平和にです。」


ジュマ・イカンガー 陸軍大佐

国連難民高等弁務官事務所と早稲田大学ボランティアセンターが協力して行うこのプロジェクトには、正月に箱根駅伝を走った競走部の学生も含めて日本から10人が参加しました。


国連難民高等弁務官事務所・
早稲田大学ボランティアセンター共催

タンガニーカ湖

タンザニアの西の端にあるタンガニーカ湖、この湖の北の端にあるブルンジから逃れてきた難民たちが生活するムタビラ難民キャンプが今回の目的地です。 タンガニーカ湖畔で、イカンガーが国の位置を説明してくれます。

イカンガー:「対岸にあるのがコンゴ、そして、タンザニアの隣にブルンジがあります。」

瀬古利彦:「ブルンジ…」

タンザニアのとなりの国ブルンジでは、今から16年ほど前、長い間反目しあってきたフツ族とツチ族の戦いが激化し、数十万人が殺害されました。命からがら国境を越えてタンザニアに渡ってきた人々が暮らしているのが、今回瀬古さんたちが訪れることになったムタビラ難民キャンプです。


1993〜95 ブルンジ内戦
ツチ族とフツ族の民族紛争


ムタビラ難民キャンプ

このキャンプができてから既に16年が経過しています。
キャンプの人口の60%がここで生まれた子供です。

難民:「キャンプでの生活はよくありません。外に出られないし、仕事に就くことも許るされていませんから…」

楽しみの少ない難民キャンプに、瀬古さん一行がやってきたのです。

瀬古利彦:「走ることは一人でもできるけれど、駅伝は一人ではできません。全員が力を合わせてひとつのたすきに心をこめて次のランナーに渡すというのが駅伝です」

初めて聞く駅伝という言葉。みんな興味津津です。

イカンガー:「楽しんで、やりましょう!」

  

3万6千人が暮らすこの難民キャンプで、驚くべきことに出会いました。

難民の若者:「レンラクサキヲ オシエテクレマセンカ?」

なんと、ラジオジャパンの日本語講座を受講している若者がいたのです。

宮嶋泰子:「エキデンを知っていますか?」

難民の若者:「エキ(駅)はStationでしょう」
「デン(伝)は…わからないです」

宮嶋泰子:「日本語は難しいですか?」
難民の若者:「いえ、それほどでも」

勉強をして、ここから出て行く日を夢見ている青年たち。
しかし、ひとたび話が故郷ブルンジのことになると、その表情はがらりと変わってしまいました。


  


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