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1月30日 新体操ニッポンの救世主になれるか 〜元女王 山ア浩子の挑戦〜
(報道ステーション・プレイバック)

団体種目では柔軟性はもちろんのこと、
その国独自の独創性あふれる技がポインになっていきます。
ロシアのリボンにはいたるところに妙技がちりばめられています。



脚で投げる5本のリボン。



まるで手のように自在な脚の動き。
一本のリボンで4本のリボンを空中に飛ばしていきます。

チームジャパンが開発したオリジナルの技は、
3本のフープを一本のクラブで止めて、
その中を選手が次々にくぐるというものです。
国際ジャッジからもポイントを獲得できるオリジナル技です。
成功のかぎを握るのは選手一人一人の気持ちです。




山ア:「たった二分半ぐらいの時間ですべてを出し尽くすと言ったら
相当の精神力がないとだめなんですよ。相当のです。
だって一回しかないんですから。
仲間で生活することで、あなたも乗り越えたよね、私も乗り越えた、がんばってきたよねっていう、これが力になると思うんですよ。」



8時間の練習のほかに炊事、洗濯、掃除など、
自分のことは自分で行うことで選手たちは精神的にもたくましさを増してきました。




11月に三重で行われた、ワールドカップファイナル。
地元日本での開催と言うことで特別に出場が許されたチームジャパン。
これが国際試合デビューとなります。



'06年11月17日 
ワールドカップ決勝大会(三重)


柔軟性を遺憾なく見せ付けます。


 


演技の最後に、あのオリジナルの大技が控えています。
成功。

チームジャパンの船出は、予想以上の7位という成績でした。
北京オリンピックの出場権は、
今年9月の世界選手権で10位までに入れば獲得できます。

「最高、最高です。」



同じ採点競技のフィギュアスケートやシンクロナイズドスイミングが
これだけメダルを取っているのだから、新体操もできないことはない。
山アさんは冷静に北京を見つめています。


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【編集後記】
三重でおこなわれたワールドカップファイナルを見てもうびっくり。
ちょっと見ぬまにここまで変わった競技も珍しいでしょう。
個人では足を上げた状態での演技が大半を占め、
団体ではびっくりするほどの技の連続。
体の柔らかさを売りものにした演技を前にして、
上海雑技団を見たときと同じような感覚に襲われました。
確かに進化と言えば進化かもしれませんが、
20年前のロシアのベログラゾーワやブルガリアのイグナトバの時代が懐かしい。
流れるような動きの美しさや跳躍のダイナミックさで覇を競っていた頃のほうが私は好きですね。
山アさんも個人的には昔の演技のほうがお好きだそうです。
柔軟性は持って生まれたものなので、
それにばかり頼る現在のルールはちょっとおかしい。
スポーツは創意工夫、努力をして作り上げていくものなのだからと現状に首をかしげておられました。同感です。
昔はよかったと言っていると、
女子器械体操でコルブトが72年のミュンヘン五輪で登場したときに、
チャフラフスカの時代がよかったと嘆いていたオヤジたちみたいですが、
今となっては彼らの気持ちがよくわかります。
技の難度と美をいかにマッチさせるかは
採点競技の方向性を決めていく中で重要なポイントなのでしょう。
それにしても、山アさん、思い切ったことをやりました。
これまでみんながやりたくても躊躇してやらなかったことを始めたのですから、喝采。
応援しちゃいます。
日本の新体操にようやく新しい時代が来たという感じです。
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