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7月2日 Player & Coach 杉山愛27歳の場合

 
芙沙子さんはコーチの仕事は母親の役割と似ていると言います。
「待っているんですよいつも。練習みたいにできる状態を、」

芙沙子さんは、2歳だった愛さんが、自分で靴の紐を縛り終えるまで30分じっと待っていたことがあるそうです。
「いつも、愛さんが自分からできるようになるのを待つのが仕事」と言います。

5歳からテニスを始めた愛さんは15歳で日本人初の世界ジュニアランキング1位となり、
17歳でプロに転向。世界ツアーへと旅立ちます。男性のコーチと愛さん、
そしてその横には常に付き添う母芙沙子さんの姿がありました。

20歳過ぎから、世界の上位30位から20位にコンスタントに入るようになり、ついに、24歳で全米オープン混合ダブルスで優勝。
さらに翌年には全米オープンの女子ダブルスで優勝を手に入れたのです。
そんな中、愛さんに遅い反抗期が訪れます。

愛さんが「こなくても別にいいわよと意地を張ってしまって」と言えば、母芙沙子さんは「私は過渡期と呼んでいるんですが、その時私のことを遠ざけたんですよ。」と付け加えます。今度は愛さん。
「ぐちゃぐちゃになってからなんですけれど、ちょっと遅すぎたかなと思いますけれど、
実はそういう時期があったからこそ、母を仕事のパートナーとして一緒にツアーを回ってくれる家族としてどれだけ必要かとわかったんで、その8ヶ月はとっても重要だったなって感じています。」

こうして2000年9月から正式に母芙沙子さんがコーチに就任。
実は、芙沙子さんには本格的なテニスのキャリアがありません。
テニスの経験がない人がコーチになることが可能なのでしょうか。

再び福井烈さんに聞いてみました。
「テニスの経験がある人ある人じゃなくてもコーチは勤まりますか?」
「務まるか務まらないかと言われると、務まります。ツアーに出るとなるとある程度は基礎が出来ているんですよね。ストレートに作戦を引き出したり、いつもと違うところをチェックしてあげたりと言うことが大切になってくると思うんですね。いつもその選手についている方であれば成り立つと思います。」

「お母様の素晴らしいところってどんなところですか?」
「コーチとしてですか?やはり眼がある。見る目があるということですね。

これまでトップ選手を数多く見てきたことで母、芙沙子さんの目は鍛えられてきました。愛さんのフォームをチェックする眼も確かだそうです。

愛さん自身こう断言します。
「すごく先が見える。実際の体の動きでも、精神的なものでも、眼の力があると思いますね。」

母がコーチについたことで、精神的に安定し、愛さんの成績も上向きになってきました。
ツアー11年目の今シーズンは全仏オープンダブルスで優勝するなど、これまでにない充実感を味わっています。

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