オリンピックの選手たちが国境を越えて練習をしたり、国籍を変えるようになって久しくなりました。
国際結婚で国籍が変わった選手。
国内の代表になれず、国を変えて代表になる選手。
国内の強化システムに不満を持って国籍を変えてメダルを取った選手。
思い返せば、この10年あまり、さまざまな選手がいました。
日本選手の中にも外国でトレーニングをすることは珍しくなくなってきました。盛夏に真冬の企画です。バンクーバー五輪を前に、1月23日にニュース&スポーツで放送したミニ企画を振り返ります。
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プレイバック・報道ステーション企画その5
『国境を越えて』 |
今シーズンのスピードケート・ワールドカップは11月から世界7ヶ所で開催されてきました。
宮嶋:「バンクーバーオリンピックを控えたスピードスケート界、実はちょっとした変化が生まれているんです。」 |
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リンクの周りをジョギングする赤い集団。中国チームを率いるのは元オランダチームのコーチだったサイチェさんです。
サイチェ:「頼まれたんですよ。すばらしい国だと思ったので(受けました。)」 |
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サイチェコーチが教えているのは、主に、中長距離の選手です。
コーナリングのテクニックなど細かに教えていきます。
サイチェ:「中国選手は身体能力としては申し分ないけれど、技術がヨーロッパ選手とは違うんですよ。だからヨーロッパ流を伝授しているんです。」
中長距離がまだまだ弱い中国に、オランダの技術を導入して、一気に強化しようという作戦です。 |
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一方、カナダ人のコーチの下で、カナダ選手と一緒に練習をしている中国選手もいました。
王北星選手など、500mの短距離の選手たちです。
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教えているのは長野五輪男子500mで3位に入ったカナダのケビン・クロケットコーチです。
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クロケット:「中国は新しいプログラムやスタイルを導入したいんだと思います。だから彼らはオランダのやり方を取り入れて、さらにカナダの方法も学ぼうとしているんですね、賢いですよ。」
カナダでトレーニングをするようになって7シーズン目にはいる王北星選手に話を聞いてみました。
王:「来た理由は、カナダが世界最強の選手を出しているし、トレーニング環境が整っているからです。」 |
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カナダのスプリンター技術を習得して、王北星の記録の伸びは順調です。
12月12日に行われたワールドカップソルトレイクシティー大会では中国新記録を出して優勝するなど、バンクーバーオリンピックでも最も期待される選手に名乗りを上げました。
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冬の競技では、道具を使いこなすテクニックが重要視されます。
技術を身に付けるために、国の枠を超えて、コーチやトレーニングパートナーを自分で選ぶ選手も出てきています。
日本にも、単身、アメリカチームに飛び込んでいった選手がいます。
吉羽木材所属の、1500mの杉森輝大(てるひろ)選手です。
杉森:「チャド・ヘドリックという選手がいて、その選手と一緒に練習をしたいというのが何年も前からあって。」
チャド・ヘドリックは、中長距離で4つの世界記録をたたき出したことのあるアメリカのスーパースターです。
2006年のトリノオリンピックでは、1500m銅メダル、5000m金金メダル、1万メートル銀メダルと3つのメダルを獲得しています。 |
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チャド・ヘドリックに杉森について聞いてみました。
チャド・ヘドリック:「アメリカの練習に秘密なんてないよ。スギは二年前にソルトレイクシティーにやってきて、彼は僕のいい友人になって、一緒に練習するようになったんだ。練習は楽しいよ。」
バンクーバーオリンピックを控えた今シーズンも、アメリカチームは、すんなりと杉森選手を受け入れてくれました。 |
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アメリカチームのコーチはディレク・パーラー。
これまた2002年ソルトレイクシティーオリンピック1500mの金メダリストです。
杉森:「世界レベルの人たちと練習を一緒にやるのは凄く刺激になりますし、日本ではやったことのないトレーニングを取り入れているので、とても励みになります」
パーラーコーチは、スケートのテクニックだけではなく、スケートの刃の研ぎ方など、細かなことも
杉森選手に伝えていきます。そこに国境はありません。
パーラーコーチ:「私は、スケートシャープニングサムライですよ!!(笑い)」 |
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パーラーコーチ:「僕は選手との関係を楽しんで、できるだけ話をするんだ。とにかく話をするんだ。具合はいい?悪い?とか、どっちがいいと思うとか、とにかく聞くんだよ」
会話をしながら、選手自身に考えさせるパーラーコーチの元で、杉森選手も徐々に変わっていきました。
ワールドカップ、ソルトレイクシティー大会では1分秒49日本記録タイを9年ぶりにマークし、ディヴィションBのクラスですが、表彰台にも上がりました。 |
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杉森:「オリンピックまでには自分の力を一レベル上のレベルに上げて、世界と戦いたいとおもいます。」
国の枠に縛られず、トレーニングをする選手たちにとって、バンクーバーオリンピックは、喜びを分かち合う相手が増える大会となることでしょう。 |
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