前の記事を読む 次の記事を読む  

トップ > パーソナルトップ > プロフィールトップ > エッセイバックナンバー
 
 
8月9日 『そのときは彼によろしく』

数ヶ月前に見たこの映画。
梅雨が明けて 厳しい暑さが続く今の時期にもピッタリ!!
物語のストーリが爽やかで、
何といっても水槽の中をユラユラと漂う「水草」の瑞々しさ。
目からも涼しい風が感じられるような内容です。
  
<そのときは彼によろしく>

市川拓司さん原作のこの映画。
現実とファンタジーの世界を揺らいでいる間に
すごく心が癒されていくのを感じる。
それも、湯たんぽでジンワリと暖められていく感覚。

まるで広大な森のような水草がユラユラと漂う。
1つの宇宙が詰まったかのような水槽。
それを大切に、愛情をこめて育てる彼。
その彼のことをずっと想い続けていた、彼女。
そして 2人はまた出逢った。
残された少ない時間にふたをして…。

いつも一緒にいた3人。いつも一緒に遊んだ3人。
現実と過去とが交錯する。

「どんなに離れていても 時間を越えて 強く結びついているんだよ」

強い力にひきつけられるように、時間を越えて3人は再会する。
はたして彼らは 自分の想いを伝えられるのだろうか…?

水草が静かに呼吸するように 花梨は眠り続ける。
そこだけ時間がストップしたかのように、ゆっくりと時が流れていく。
まるで水草を眺めていたときのように穏やかに。

そして智史は、眠り姫が目を覚ますのを信じて待ちつづける。
このまま死んでいくかも知れない彼女を…。
ただ その姿には悲壮感は漂っていない。
水草を慈しむように、
何十年も眠り続けるオニバスの種が芽を出すのを心待ちにするように。
5年の歳月ぶん、水草のビンが増えていくけれど
あくまで2人に流れる時間は 周りの世界とは切り離されている。

市川拓司さんのコメントが心に響く。
「長く待てば待つほど、至福が長く続くということなんですよ、きっと。」
どこまでも優しくて、暖かい世界が そこには広がっていた。

   
 
 
    
前の記事を読む 次の記事を読む  

トップ > パーソナルトップ > プロフィールトップ > エッセイバックナンバー