私たちの取材が許可されたのは地下140メートル地点の坑道でした。
ここは、大昔は海底だったといいます。その証拠に、地層からは大きな貝の化石が出てきたり、
地下水自体も塩分を含んでいて、実際に飲んでみると、ほんのりとしたしょっぱさが感じられました。
この地下研究施設を使って、地下水の流れ方など地層処分に関する研究を進めているのが、日本原子力研究開発機構です。
機構は、地元の幌延町で、この地下施設での研究の進み具合などを、年に2回住民に説明しています。
その住民説明会も取材しましたが、総研究費600億円ほどの内これまですでに300億円ほどが使われていることなどから、この研究施設がそのまま本当の最終処分場になってしまうのではないかと、心配する住民の声が相次いでいました。
またもし最終処分場になってしまった場合に、地層も新しく火山や地震も大変多いこの日本で、将来、放射性物質が漏れ出すことは本当にないのか、安全性は大丈夫なのかという点でも皆さん大変心配していました。
ちなみに、海外ではフィンランドが最終処分場の建設を始めていますが、日本よりもはるかに地盤が古く
頑強で地震や火山も少ない現地ですら、地下深くに建設する最終処分場は本当に大丈夫なのかと問題になっています。
それは無事に廃棄物を埋めたとしても、その場所の危険性を後世の10万年後の人々にどう伝えるのかということなのです。
高レベル放射性廃棄物が安全になるとされる10万年後の世界。
10万年後と言いますと、人類が生存しているかわかりませんし、少なくとも言語が変わっている可能性は高いと考えられます。
フィンランドでは、そうしたことも想定して、処分場の入り口をコンクリートでふさいだ後、そこに人間が恐怖や不安感を抱くような画を掲げようとしています。
しかし逆に考えると、危険ということを知らせられたとしても、危険だからこそ開けてしまおうと考える人(?)が現れるかもしれません。 |