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6月21日 脱原発の主役となるか?新型ガスハイブリッド発電の可能性!

福島原発の事故をきっかけに、エネルギー問題への関心が高まっています。
ヨーロッパでも、ドイツやイタリアなどが脱原発路線に舵を切り始めました。
そして、事故を起こした当の日本はこれからどういう道を歩むのか!?
大変大きな問題ですね。

菅総理は先月、2020年代のなるべく早い時期に、太陽光などの自然エネルギーを全エネルギーの20%にすると表明しました。
もちろん、将来に向けて、太陽光や風力、小水力、バイオマスなどの自然エネルギーを開発するのはとても大事なことです。

しかし、太陽光発電が電力の主力になるのにはまだまだ時間がかかりそうです。
例えば、日本の全発電量に占める太陽光発電の割合は、2008年段階でわずか0.2%、
太陽光先進国のドイツでさえ、わずか1%ほどでした。

今、多くの原発が各地で定期点検などで止まっている中、短期的に必要とされるエネルギーをどう確保するのか?!

その有力な候補になりそうなのが、最新のガスハイブリッド発電なのです。




これまでもガスを使った火力発電はありましたが、その熱効率(エネルギーの何%を発電できているかを示す数字)は40%程度でした。
それが最新のガスハイブリッド発電では60%にもなるのです。
(ちなみに、原子力発電の熱効率は約30%です。)




このガスハイブリッド発電は非常に凝った作りになっています。
まず高温・高圧のガスの力でタービンを回し発電します。その後、これまでは捨てていた排熱を利用してボイラーで蒸気を作り出し、さらに別のタービンを回します。
最新のものでは、この蒸気タービンが高圧・中圧・低圧と3つ付いています。
つまり一つの発電機で4つのタービンが超高速回転する仕組みなのです。
いわば、一粒で4回おいしい、まさに超高効率の発電システムです。




正式には、ガスコンバインドサイクル発電といわれています。
まさに、ガスと蒸気の合わせ技の発電システムというところでしょうか!?

また、このガスコンバインドサイクル発電では、CO2の排出量も石炭火力の半分以下と、非常にエコな発電システムでもあります。

そして、今、アメリカでシェールガスという新しい天然ガスが大量に発見されたおかげで、世界の天然ガス市場では供給量が劇的に増え、価格も下がる傾向にあるのです。

このシェールガスは、アメリカだけではなく世界中の多くの地域にも存在すると見られていて、新しいエネルギー源としてその可能性は大きく拡がっています(残念ながら日本にはないようですが、最近価格が高騰傾向にある石油よりも大幅に安く輸入できることになります)。

こうした中、東京都も石原知事や猪瀬副知事が、東京湾にこのガスコンバインドサイクル発電所を新たに作ることに前向きな姿勢を示しました。
ガスコンバインドサイクル発電は非常にコンパクトな敷地に作れます。川崎にあるガスコンバインドサイクル発電所は、福島第一原発の60分の1という非常に小さな敷地で、原発1基分の発電能力を持っています。
東京湾の埋立地の空いているスペースに新たに建設することも十分に可能なのです。




これからのエネルギーを考える上で、とても大切な要素が『エネルギーの地産地消』ということではないでしょうか。

今回の福島原発事故で、私も飯舘村や南相馬市の方々を取材し、皆さんが大変なご苦労をされている姿を見てきました。
福島で皆さんにお話を伺っていて、いつも大変申し訳なく思うのが、あの事故を起こした原発は、東京電力管内の電力をまかなうためにあの場所に存在している、ということです。

やはりこれからは、自分のところで使う電気は自分たちの見える場所で作るべきなのではないでしょうか?

それを可能にするひとつの手段が、このガスコンバインドサイクル発電です。

今回の取材を通して、将来の太陽光などの自然エネルギーへの橋渡し役として、ガスコンバインドサイクル発電が、今の日本の電力事情に貢献する可能性はとても大きいものがあると感じました。

   
 
 
    
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