前の記事を読む 次の記事を読む  

トップ > パーソナルトップ > プロフィールトップ > エッセイバックナンバー
 
 
12月8日 沖縄とヨンピョン島


沖縄とヨンピョン島

先月は、沖縄の島々を巡る日々、そして北朝鮮の砲撃で韓国ヨンピョン島に向かうなど、本当に慌ただしい毎日でした。

沖縄については、二つの特集を報道ステーションでお伝えしました。
普天間基地の騒音問題と、基地に頼らない沖縄経済についてです。

普天間基地では、極東最大の米空軍の拠点・嘉手納基地の改修工事に伴って、多数のジェット戦闘機が飛来し、爆音を撒き散らしていました。住宅街のど真ん中に位置し、世界一危ないと言われる普天間基地がさらにとんでもない状態になっていたのです。



普天間爆音


一方で、基地に頼らない沖縄経済の特集では、全日空がスタートさせた那覇貨物ハブ空港や、離島を中心とした沖縄の観光産業の限り無い可能性についてお伝えしました。



竹富島海


私は沖縄には特にこだわりがあります。

沖縄は、間違いなく、日本で最も潜在力のある観光地だと思います。
本島だけでなく、離島にも、それぞれの文化や美しい自然があり、世界に胸を張れる素晴らしい場所です。




しかし、その沖縄には在日米軍の75%が集中していて、沖縄の方々は、その過重な負担に苦しめられています。普天間基地の移設問題では、当時の鳩山政権が開いた全国知事会でも、他のどの県も、協力に名乗りを上げませんでした。

さらに、太平洋戦争で大規模な地上戦があったのも、沖縄でした。沖縄にはその時の悲しい歴史もあります。

美しい自然と、悲しい現実、そして、歴史。
沖縄を訪れる度に、沖縄がもっと輝くように、様々な事を報道し続けなくては、と強く思うのです。

そして、その沖縄経済の特集を放送しようとしたその日に、北朝鮮による砲撃が起き、私は急遽、羽田発ソウル行きの便に飛び乗り、韓国へと向かいました。

多くの住民の避難先となったインチョン港から、高速船でおよそ3時間。
韓国ヨンピョン島の被害は凄まじいものでした。



ヨンピョン島リポ1


島のあちらこちらが砲撃を受け、多くの住宅や商店街が破壊され、鉄筋だけがぐにゃぐにゃになってわずかに原形をとどめるだけで、あとは焼け野原と化していました。



ヨンピョン島リポ2


私は、ほとんどの住民が避難した後の島に残って、一夜を過しました。
夜の報道ステーションに生中継を入れた後は、すでに主人が避難して空っぽになっている民宿に泊まらせてもらいました(主人には電話で連絡をとり、宿泊の許可を頂きました)。

幸い、直前に電気や水道が復旧したため、特に不自由はありませんでしたが、夜中には気温が零度を下まわり、冷え込みはかなり厳しいものがありました。

翌日は、宿に残されていた自転車を借り、山越えをして島の反対側に向かいました。
展望台からは、北朝鮮の島がすぐ目の前に見え、さらに対岸の北朝鮮本土にある、今回の砲撃に使われた基地も、はっきり確認出来ました。



北朝鮮を望む


今回、東アジアの緊張が高まったことは、日本、特に沖縄に大きな影響を与えています。

沖縄知事選では、保守系の仲井真知事が再選を果たしました。
尖閣諸島をめぐる中国の動きや、今回の北朝鮮の砲撃が、米軍基地の国外移設を一貫して訴えていた伊波候補に逆風になったのは間違いありません。

しかし、この沖縄知事選で忘れてはならないのは、仲井真さんも選挙中に県外移設を訴え、当選後の会見でも県外移設を何回も名言したことです。

基地の負担を全国で分かち合って欲しいという、沖縄の方々の思いは、東アジアの緊張が高まろうが変わるものではありません。

日米同盟が重要なのは疑いの余地もありませんが、その日米同盟により私たちが享受しているこの国の平和は、沖縄の方々の過重な負担の上に成り立ってるところが大きいのです。

日本の安全を守りながら、いかにその負担を私たち全ての国民で分かち合って行くのか?
この大きな課題から目を反らしてはならないと思います!

   
 
 
    
前の記事を読む 次の記事を読む  

トップ > パーソナルトップ > プロフィールトップ > エッセイバックナンバー