「君が代は、また今日もブーイングに迎えられてしまいました」
アジアカップ準決勝での放送中の私のコメントです。
今大会はジーコジャパンの戦いと共に、中国人サポーターによる日本へのバッシングが大きな話題となってしまいました。
そもそもグループリーグが行われた重慶という都市は、緯度が沖縄と同じくらいで、夏の最高気温が連日40度を越える大変暑い場所として中国内でも有名な場所であり、また日中戦争では日本が爆撃をした都市として知られています。
そういう意味ではコンディション、国民感情、共に日本にとっては大変厳しい場所でした。
街中を歩いている時にはまったく感じなかった「反日感情」も、ひとたびスタジアムに入るとまったく雰囲気が変わってきます。
日本の対戦相手が中国とはまったく関係の無い中東の国であっても、応援は完全に対戦国に送られ、日本に対しては例えボールを持っただけでも「ブ〜〜〜」です。
我々も最初は事情がわからず、なんで中東の国が中国で人気があるんだろうと不思議に思っていました。
ところが第2戦のタイ戦でもブーイングは止まず、更には国家吹奏の時でさえブーイングが起こったときにはさすがに「あれ?これは明らかに反日のスタンスだな」と改めて認識させられました。
中2日という短い間隔での試合が続き、しかも猛暑の中、スタンドは完全なアウェイ状態で、選手達は非常に戦い難かったと思いますが、それでもグループリーグは首位で抜け出し、決勝トーナメントに進みました。
そして同じスケジュールで中継をしていた我々スタッフにも、別の戦いが待っていました。
まず、最大の敵は「言葉の壁」でした。(笑)
中国人はほとんど英語を喋らないので、ありとあらゆる場面で苦労させられました。
更に組織委員会と公安警察の認識がずれていて、本来我々が持っているパスで通れるところも通してもらえなかったり、居ていいはずの所から強制的に退去させられたりと、日本から行ったマスコミ全員が大変苦労させられました。
また、中継のホストである中国中央テレビの対応が遅れてしまい、初戦のオマーン戦も、実は試合開始の1時間前に「放送できないかも」と信じられない状況まで追い詰められていたのです。
もう一つ、これは敵と言えるかどうかわかりませんが、重慶の料理は「火鍋」に代表されるように大変辛い料理が多く、スタッフのほぼ全員がおなかをやられました。(笑)
そんな「もう一つの戦い」を乗り越えながら、我々も何とか全試合中継することが出来て胸をなでおろしています。
選手達はあのブーイングをエネルギーに変えて戦いました。
「もうだめだ」と思った事が何度あったでしょう。
しかし彼らは最後まで諦めないという気持ちが何より大切だと言うことを結果で示してくれました。
我々も中継と言う形で精一杯応援しました。
私も実況という仕事をしていながら、心の中では誰よりも声援を送っていました。
ヨルダン戦ではPKでの劇的な勝利に狂喜し、バーレーン戦ではロスタイムの同点ゴールに奇跡を信じました。
そして決勝戦のあの異常な雰囲気の中での日本代表の戦いは、それまでの苦労を全て吹き飛ばしてくれる程の、正に溜飲を下げる大きな大きな勝利でした。
優勝という最高の結果で幕を下ろしたアジアカップでしたが、そこにたどり着くまでの間、テレビでは伝えきれない戦いが繰り広げられていたのです・・・(笑)
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アジアカップ・トロフィー |
スタンドは赤一色、中国応援団 |
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「君が代」が流れた |
キックオフ、この瞬間の視聴率18・9% |
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日本が先制!視聴率28・1% |
中国も一点を返す!31・9% |
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途中、ANNニュースで厳戒態勢が伝えられる |
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視聴率はうなぎ登り39・3%(後半12分) |
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日本、勝ち越し!!! |
勝った!その瞬間、視聴率44・3%! |
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「スマステ3」に出演(松木安太郎氏と) |
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帰国後、田畑アナは
「スーパーモーニング」に生出演 |
自らの恐怖体験を語る |
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今後のサッカー中継
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「AFC U−17選手権」 9月4日から18日 |
「AFC U−20選手権」 9月25日から10月9日 |
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