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8月26日 サマーチャレンジ第3弾!縄文杉制覇!!


我が家の夏の恒例となった「サマーチャレンジ」
おととしの沖縄本島縦断、昨年の富士山頂!に続く第三弾は、
そう、世界自然遺産の島「屋久島」の象徴『縄文杉』
会いに行くこと。
登山専門店では、富士山と同じように専門コーナーがある「縄文杉」。
中高年の登山愛好家よりもむしろ「山ガール」など、若い人を中心に人気
なんだそうですが、一番の違いはなんと行っても首都圏からは、
はるか離れている点。
東京から3時間足らずで5合目登山口まで行ける富士山とは違い、
屋久島に行くにはそれなりの覚悟が必要です。

一年前はちょうど富士山にチャレンジしていた8月3日(火曜日)
羽田発朝6時台の便でまずは鹿児島空港へ。



個人的に、都内で最も心が洗われる景色
「朝日のレインボーブリッジ」

空港からは、高速バスで1時間かけ、鹿児島港へ。
南埠頭からジェットフォイルと呼ばれる高速船で種子島を経由し、
さらに2時間40分。
自宅を出発してから実に8時間、屋久島に二つ
ある港のうちの一つ安房に到着しました。



トビウオの漁獲量日本一の港です。

港から車で15分ほどにある宿に荷物を置いたあとは、
屋久島町が運営している「屋久島自然館」
まずは、その知名度ほどあまりよく知らない「縄文杉」
について勉強します。



2006年末に雪の重みで折れた
縄文杉の枝が、
(長さ約4m、重さ約1.2t、太さは最大約80cmと普通の杉の幹ほど)
「いのちの枝」と名づけられ展示中 
枝でも樹齢1000年以上!

クイズ形式での勉強は、
子供には最適ですね。

昭和30年代、屋久杉伐採に
使われた2メートル超の
大型チェーンソー。
私でも持ち上がらないのに
どうやって
使っていたんでしょうか。

屋久島で最初に迎える朝、
AM3時30分 当然、まだ真っ暗の中起床。
ピーク時に起こる富士山同様の「登山者渋滞」を避けるため、
AM4時40分、始発の登山バスに乗車します。



09年から、縄文杉の玄関口「荒川登山口」まで、
車両の乗り入れ規制(3月〜11月)が開始されたため、
昨日訪ねた屋久島自然館から皆シャトルバスを利用します。

約40分間、曲がりくねった道をひたすら登り、
標高約500Mの「荒川登山口」に到着。
登山口に着いてまず驚いたのは、登山口では「何も売っていない」こと。
最近設置されたという休憩所には、自動販売機の一つもありません。
5合目登山口で、レストハウスや売店、郵便局から外貨両替所までが立ち並ぶ
富士山とは大違いです。



まだ真っ暗で不安なため、先行く人を待ちます。

宿泊した宿の方によると、富士山に登ったことのある人が
「食べ物は登山の途中で買いますから」と、アドバイスを聞き入れず、
十分な装備や準備をしないで、縄文杉に向かい、
途中で断念する人も結構居るそうです。

一人で登るよりも不測の事態が起こりやすい家族での登山。
事前に十分な下調べをして、富士登山並みの重装備に身を包み、
AM5時40分、縄文杉まで往復約20キロ、約10時間のツアーに出発!



一ヶ月に35日!雨が降ると言われる屋久島、
防水の登山靴にレインウエアは最重要アイテムです。

まずはかつて屋久島伐採に使われていた森林軌道、いわゆる
「トロッコ道」をひたすら進みます。
歩いて20分ほどで現れたのは、今年1月に発生した大規模な土石崩れのあと。


巨大な岩がトロッコ道を完全にのみこみ、数十メートル下の川まで
落ちていったあと。復旧したのは6月中旬になってから。

さらに、眠気を覚ますには十分なこんな場所も!



柵の無い小杉谷橋 
踏み外せば急流の川。
まず助かりません。

全体が巨大な花崗岩の
塊のような屋久島。
こんな巨石がごろごろしています。

岩に根を張る木々。
栄養分に乏しく
冬は雪が積もるという
厳しい環境だからこそ、
屋久杉はゆっくり大きく
育ったんだそう。

底の固い登山靴では歩きにくく、枕木の間隔と歩幅が合わない上、
雨で滑りやすい枕木の上を進むこと1時間、
AM6時42分(スタートから1時間2分)
小杉谷小中学校の跡に到着。
かつて屋久杉伐採の前線基地として栄えた小杉谷集落は、最盛期には
500人が住んでいましたが、1970年伐採終了とともに
無人になったそうです。


桜の木が当時の面影を伝えています。

予定からは10分程遅れていましたが、ここが縄文杉まで最後の
トイレと休憩所のため、軽くブレイクをとります。

単調なトロッコ道、さらに止んだかと思えば急に降りだす雨に
早くも娘の口から禁断の言葉が・・・
「もう、ヤダ」
さらに追い打ちを掛けるようにこんな看板も。


厳しい屋久島の環境で、朽ち果てそうな道標。
縄文杉まで170分。えぇ〜と、まだ3時間弱?
すぐに計算出来ないほど、テンションは低いまま。

なかなかペースが上がらない中、
AM7時27分(スタートから1時間47分)
トロッコ道、最初の巨木「三代杉(さんだいすぎ)」に到着!
樹高38.4Mとあまりの高さに上部は確認できません。
一口に屋久杉と言っても、様々はタイプがあるのですが、
この三代杉は倒木や切り株が三代に渡り更新されたモノ。


一代目(樹齢1200年)の倒木の上に二代目(樹齢1000年)が育ち、
さらにその倒木の上に三代目(樹齢500年)が育っている三代杉。
岩ばかりの屋久島では、切り株は貴重な次世代を担う土壌代わりになります。

地元の方によると、樹齢1000年未満のモノは屋久杉と
呼ばないそうですが、それでも十分な大きさです。

さらにその30分後には、
屋久島に生息する哺乳類で最も数が多いと言われる「屋久鹿」に遭遇
屋久島にいるとしょっちゅう見かけますが、
こんな山の中で一生懸命生き抜いているんだと思うと
少しだけ元気になりました。



人口14000人、屋久鹿17000頭。
人が近くを歩いていてもあまり気にせず
草を食んでいるかわいいバンビ。
全般的に、本州の鹿より小型なのが特徴。

前日、島の西を走る「西部林道」で
出会った屋久猿。
長い毛は多雨対策と言われています。

歩いても、歩いても、一向に終わる気配のないトロッコ道に
私まで心折れそうになる中、


トロッコにスピードダウンを知らせる「徐行」の標識。
言われなくても、歩みはずっと徐行中。

AM8時13分(スタートから2時間33分)標高860M、
次なる巨木「仁王杉」に到着。登山道からやや離れていても十分な迫力ですが、
これでも巨木一覧表では脇役レベルです。


樹高22.8M 周囲8.3M 急な斜面にしっかりと根を下ろす仁王杉。
複雑な幹の凹凸が確かに厳つい!
見慣れている植林されたスギとは似ても似つかない。

「仁王杉のあと間もなく林道」というガイドブックのコメントを
家族の励みに、とにかく歩き続けると、

AM8時40分(スタートからちょうど3時間)
ようやくトロッコ道が終了!
長かった〜(><)!!
家族4人に広がる安堵感・・・
先を進んでいた登山者の多くも
やれやれといった表情で腰を下ろしていました。

縄文杉への次なるステージは通称「大株歩道」と呼ばれる林道です。


小杉谷からの5キロに比べれば、ウィルソン株まで
0.6キロ!もしかして直ぐなのでは?

ここから本格的な林道がスタート。これが意外と手ごわい!
いきなり急な階段から始まり、木道とむき出しの「木の根」の連続で、
ロープを伝いながら登る急斜面も。
雨で非常に滑りやすく、一歩一歩足場を確認しながら進みます。


映画「もののけ姫」の舞台になった屋久島の森。
本当に精霊たちがいてもおかしくない雰囲気です。

体重の重い大人にとっては、思わず「よっこいしょ」と言ってしまう
急角度の連続も、至極単純なトロッコ道に比べれば、子供たちにとって
アトラクション同等だったようで、ついさっきまでは座り込んでしまい
そうだったのが嘘の様に、ぴょんぴょん跳ね登って行きます。

林道に入ってから18分後 
AM8時58分(スタートから3時間18分)標高1000M
林道最初の巨樹「翁杉(おきなすぎ)」に到着!
2000年を超えるというこの古木には、数種類の木が着生していて、
まるでこの木だけで森のよう。
たぶん夜中になったら動きだしそうな
「森のおじいちゃん」の雰囲気です。


樹齢2000年 樹高23.7M 周囲12.6Mはあの縄文杉に
次ぐ太さで風格たっぷり。着生植物の根が幹を這う姿は古木の特徴。

屋久杉界の準エースクラスでさえ、相当な威圧感がありましたが、
さらに歩くことわずか10分、

AM9時8分(スタートから3時間28分)
ついにウィルソン株に到着!
その名の通り数百年前に切り倒された『切り株』なのですが、
周りに若木を従えて、数ある切り株の中でも圧倒的な存在感を誇ります。



アメリカの植物学者「ウィルソン博士」が
1914年に来島して紹介した巨大な切り株。
屋久杉が世界に知られるきっかけとなったそう。

大阪城築城のため、
または方広寺建立のため切られた
と伝えられる『ウィルソン株』
切り株の大きさは8畳以上!


切り株の中は空洞で、湧水が吹き出し、
祠が祭られています。
見上げるとハートに見える場所も。

写真を撮り終えたあと、
ウィルソン株渋滞始まる!

山道はここからさらに険しくなり、まだ1時間半は掛かる為、
「勇気が必要だったけど、みんなに迷惑を掛けるから」
と団塊の世代と思しき女性はここで登山を断念されていました。


わずか1.9キロ されど1.9キロ

ウィルソン株にちなんで名づけられた大株歩道は、地形も複雑で
起伏に富み、湧き水もあちこちにあるので、お水には困りません。
ここで少し水分を補給し、さらに歩を進めると
すれ違う下山者の「やっぱり一番すごいね」なんていう会話が
ちらほら聞こえ始め、さらに気合が入ります。


いつもどこかで雨が降るといわれる屋久島。
屋久杉の育つ山間部の降水量は実に東京、大阪の5倍以上!

9合目を過ぎれば岩場しかなく、単調にならざるを得ない
富士登山と違い、数十分歩けばその都度「ご褒美」が待っている屋久島の山。
レインウエアを脱ぐと決まって雨が降り、着ると止むという
何とも気まぐれな雨にも負けず、
さらに40分後、

AM9時47分(スタートから4時間7分)
縄文杉と並ぶ屋久杉のスター!「大王杉」に到達!!
『これはすごい!』
その名の通り、縄文杉が再発見されるまでは屋久島最大とされたスギで、
科学的測定で確認された最も古い屋久杉です。
その大きさは、この大王杉と縄文杉だけはその全景を収めたいと思う気持ちを
あざ笑うかのよう。



樹高24.7M 周囲11.1M 
樹齢3000年
急な斜面をがっちり掴む大王杉
下部1/4しか撮れていません。

かつて反対側にもあった
登山道からは、試し切りの後が
見られるんだそう。

他の木を押しのけるように、
上に上に枝葉を伸ばす大王杉
その生命力には恐れ入るばかり。

山深きもののけの森で、人間が邪魔をしなければまだまだ
何千年も生き続けられそうなその若々しい姿には、
子供たちも驚いていました。

さぁここまで来ればラストスパート!

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