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5月12日 古澤ストロングスタイル『物の価値』


大事なものを人に貸すというのはちょっと勇気がいる。
しかし、貸したまましばらく経つと少し不安になったりして
その結果、貸したものの価値を再認識したりもする。

IWGPジュニアのベルトは「貸した」わけではない。
「奪われた」のだ。
だから「返してくれるのか」「帰ってくるのか」は奪った本人次第。
取り返さないとベルトはまず戻ってこない。

チャンピオンの丸藤正道(ノア)には自分から返すつもりは
ないようだ。逆に返上でもされたらそれこそ赤っ恥である。
だから血眼になって新日本の選手は取り返しにいく。
ところがことごとく返り討ちにあってしまっている。


前回破れたライガーは今回ゲスト解説

デヴィット、金本、ライガーがベルトに挑戦し敗れた。
その度に新日本の選手やファンはベルトの価値を再認識している。
「あれは大事な新日本のベルトなんだ、だから取り返さないと
いけないんだ」と。

そして静かに田口隆祐が立ち上がった。
「いつも自分が挑戦を表明しようとする一瞬前に他の選手が行っていて
『なんでもっと早く行かなかったんだろう』とずっと悔しい思いをしていたんですよ」


満を持して登場

本人も認めるように感情が表に出にくい選手であり、よく物事を考えてから
行動するという印象は以前からあった。
というのも田口は将棋が趣味、レスラーとしては
いささか変わった一面を持つ。無関係ではないのだろう。



試合巧者同士の駆け引きも見もの

あせって攻めると失敗する。
常に二手、三手先を読んで闘う。
かといってのんびりしているわけではない。
中邑真輔、後藤洋央紀ら同期の中で、最も身体能力と
運動神経に優れていると誰もが認めるのがこの田口なのだ。


田口の奥の手カラパリダ

チャンピオンの丸藤は天才的なひらめきのプロレス
チャレンジャーの田口は先を読む目と身体能力のプロレス
この2人がどんな化学反応を起こすのか

そして田口は言った。
「プロレス人生で大きな転換点になる試合だと思うんです」
ベルトの価値を知る男が静かに青白く燃えているように見えた。

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