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7月8日 ワールドプロレスリング・実況三銃士の闘魂コラム#7
       「ヒールとなった男」


新日本のレスラーに矢野通(やのとおる)という男がいる。
パンクラスにも出場しているのである程度格闘技を知っている人は知っていると思う。
「あの」中邑真輔の一期上である事を考えると中邑のライバルに抜擢されてもよさそうなものだが今のところそうはなっていない。何故か矢野は学生時代アマレスで輝かしい成績を誇っている。

アナウンス部でも、凶器の傘選びに余念がない

高校時代は高校選抜、インターハイ、国体で優勝。大学時代もフリーとグレコの両部門で全日本学生選手権を制している。同時期に同じ階級にいた選手がかわいそうになってくるほどの成績である。鳴り物入りで新日本に入団。
アマレス仕込みのテクニックとマナブくんにはないクレバーさ(笑)で一気にスターになるかと思われたのだが次の年に入ってきた中邑に先んじられてしまった。
何故か個人的に矢野とは親しいので酒も飲むし会場で話し込んだりもする。
番傘ではなく、ついつい女物を手にしてしまった古澤アナ

その度に彼は悩みを口にするのである。
「自分はアマレスの技術をあえて試合で出さないようにしている。だってこれはプロレスだから。アマレスの技術で勝ってもお客さんは喜んでくれないでしょ。」
おそらく悩みに悩んで彼が出した答えがヒール(悪役)転向だったのだろう。
真っ赤な長じゅばんに高下駄という昔の悪役スタイルで登場し(新日本プロレスのホームページで彼のプロフィール写真を見てもらえるとわかる)、番傘で相手を殴り倒し、さらにリング下に隠しておいた一升瓶を痛めつけた相手にムリヤリ飲ませるのである。当然、試合は反則負けが多い。矢野の過去の実績を知っているファンから見ると「なぜ??」という思いがあるように思う。

今回のヒール転向についてまだ彼とは話していないのだが彼なりに中邑、柴田、棚橋の新三銃士への対抗意識はあると思う。おそらく彼は回り道をしている意識はないのだろう。ヒールとして自分の幅を広げ一気に新日本のトップ戦線に躍り出ようとしているのだ。そのときは「三銃士」ではなく「四天王」と呼ばれるに違いない。それまでリングサイドで彼がヒールとして何を吸収し、何を見据えているかを注目していこうと思う。

   
 
    
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