第18話「白い声」

右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は、調布のマンションでの殺人事件への捜査協力を求めるビラを手に入れる。が、調べてみたものの、警視庁のデータベースにそんな事件は存在しない。ビラを配っていた男性=中津留(山本亘)によると、娘の順子がマンションの自室でストーカーに殺害されたのだと言う。しかし、所轄署の熊沢刑事(上杉祥三)の判断は急性心不全による病死だった。それで警視庁のデータベースになかったらしい。

現場のマンションの部屋を調べた右京と薫は、タンスの下に隠れた円状のシミを発見する。さっそく鑑識に検査を依頼すると、青酸ソーダとオレンジジュースの成分が検出される。何者かがオレンジジュースに青酸ソーダを混入、順子に飲ませた可能性が高い。さらに部屋のドアから何者かの耳の紋=耳紋が発見された。どうやら犯人が耳をそばだて部屋の中をうかがっていたらしい。

 右京と薫は内村(片桐竜次)から捜査を中止するよう命じられるが、薫は病で倒れた中津留に右京と2人で必ず犯人を捕まえると誓う。
犯人はどのようにして順子に青酸ソーダ入りのジュースを飲ませたのか。右京と薫は順子のバッグを手に1日の行動を辿る。彼女が日常利用していたバスに乗ると、右京はこっそりバッグの中のペットボトルを入れ替え、カギを抜き取る。つまり毒入りのジュースをバッグに入れ、抜き取ったカギで型を取り合鍵を作ることも可能なわけだ。
バスが城南大学の理工学部の前で停まることがわかった。そこなら実験用の青酸ソーダもある。薫は城南大学の学生がバスの中で順子に片思い、何かの理由で殺害にいたったのではないかと推理する。
右京らはバスを降りると、その大学の助手・三田村(西川忠志)に青酸ソーダの盗難、紛失などなかったか確認するが、しっかり管理ができているらしくそんな事実はないという。やはり学生を犯人とするには無理があるのか…。

心臓を患っていた中津留が急死した。絶対安静という医師の指示を無視してビラを配り、順子のマンション前で倒れたらしい。そんな中津留の死に疑問を抱いた右京は解剖を依頼。さらに中津留がかつて勤めていた工場に出向いていた事実をつかむ。中津留が工場から青酸ソーダを盗み出し、どうやら自殺したらしい。つまり中津留は自らの死で自殺や他殺が病死で処理されることを証明したわけだった。そんな事実を突きつけられた熊沢だが、あくまでも順子は病死だと言い張る。

順子の不審死が東京23区内での出来事なら、遺体は解剖され正確な死因が特定できたはず。犯人はその事実を知っており、あえて調布市で順子を殺害したのでは?もしそうなら警察の判断ミスを予想していたことになる。さらに他にも同じような手口で何者かを殺害している可能性も…。右京らは毒殺の疑いがある過去の変死者を調べ直し、順子が死ぬ1ヶ月前に城南大学の教授が急性心不全で死亡していた事実をつかむ。

 助手の三田村が実験で使用する量より2g多く青酸ソーダを入手していた事実をつかんだ右京と薫は、三田村に教授と順子殺害の自供を迫る。しかし、三田村は頑として否定。ドアの耳紋が自分と一致しても証拠にはならない、と言い張るが、右京らが指摘する前に「オレンジジュースに毒など入れない」と口走ってしまう。なぜ順子が飲んだジュースがオレンジとわかっていたのか?右京に指摘された三田村はすべてを自供する。

 右京らから報告を受けた熊沢は、自殺する直前に中津留から手紙を受け取っていたことを明らかにする。
「あなたたちには、順子の声が聞こえませんか。焼かれて、真っ白い灰になった順子が、悔しい、悔しいと叫んでるのが聞こえませんか…」。
 手紙につづられた中津留の悲痛な叫びに、右京と薫は改めて無念さをかみ締めるのだった。


ゲスト:山本亘 上杉祥三

脚本:岩下悠子
監督:長谷部安春