2007年2月7日(水)9:00〜9:54pm第16話「イエスタデイ」

 とある会社で経理係(渡辺憲吉)が襲われ現金が強奪される事件が発生した。襲われた経理係の似顔絵によると、犯人は目出し帽にサングラスをかけていたらしく、そのほかの特徴も中肉中背という以外は覚えがないという。
 会社が金を移送する時間を知っていたことから内部犯行の可能性が高い。聞き込みの結果、伊丹(川原和久)らは事件当日の記憶だけが抜け落ちている社員の狭間(林泰文)を容疑者として拘束する。

 が、狭間は何も覚えていないというだけで事件のことなど語ろうともしない。結局、証拠不十分で釈放されるが、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)はその狭間とともに記憶を取り戻そうとする。

 包丁、ロッカーの鍵、俳句作品展のチケットなど身に覚えのない品を確認すると、当日の行動を確認することに。朝のバスで一緒だった同僚の康江(遊井亮子)によると、狭間はバスの中から何かを見つけ、あわてて途中下車したという。下車したあたりを調べた結果、狭間は元同僚の宇田川(北原雅樹)と再会していたことが判明。近くの宇田川の部屋を調べると、目出し帽に1000万円など強盗犯を示す証拠品が出てくる。

 気弱な狭間も宇田川の一味?帰宅した宇田川を取り逃がした右京らは、狭間が持っていた謎のロッカーの鍵でとある駅のロッカーを開ける。と、中から500万円もの大金が。どうやら見張り役の報酬として受け取っていたらしい。

 自分に強盗などできるはずがない、と懸命に否定していた狭間もさすがに言い逃れができない。再び拘束されるが、逮捕された宇田川の証言で今回の強盗の主犯は会社の金を使い込んでクビになった先輩の国分(関貴昭)であることが判明。宇田川と2人だけの犯行で、狭間は単に宇田川を心配して見に来たところを事件に巻き込んでしまっただけだという。旧友と再会しただけで強盗事件に巻き込まれるとは…。それがショックで記憶喪失になったらしいが、右京はそれだけの理由で記憶を失ったりするだろうか、と不審を抱く。

 国分の刺殺体が自宅で発見された。それとほぼ同時に狭間が記憶を取り戻したと国分殺害を自供する。しかし、犯人は左利き、右利きの狭間が犯人のはずがない。右京らの追求に狭間は、国分が康江と付き合っていることを吹聴したため殺そうと思ったと自供。包丁を買い、国分の自宅へ行ったが、すでに国分は死んでおり、そのそばには康江が立っていたという。その康江は左利き…。康江は伊丹ら捜査一課の手で逮捕されるが、悪らつな手口で交際を強制してきた国分を憎んではいたものの、自分が部屋に行ったときはやはり死んでいたと証言する。

 では、いったい誰が?右京と薫は国分の携帯から「K」という人間と頻繁に連絡を取り合っていたことを突き止める。「K」とは、会社の金の動きをつかんでいた左利きの経理係だった。右京らの追求に経理係は現金強奪事件への関与と国分殺害を自供する。

 記憶を取り戻し、警察からも解放された狭間。唯一、謎として残った俳句作品展のチケットは、記憶を失う前、康江がくれたものだった。改めて約束を確認する2人。肩を寄せて歩く2人に右京はささやかな言葉を贈る。

「今日は、狭間さんにとって忘れられない日になるでしょうね」。

ゲスト:林 泰文 遊井亮子

脚本:古沢良太
監督:和泉聖治