2007年1月17日(水)9:00〜9:54pm第13話「Wの悲喜劇」

薫(寺脇康文)のマンションの隣室に住む欣司(野村宏伸)の妻・麗子(城島あこ)がトイレで変死体となって発見された。折しも薫宅では右京(水谷豊)らが集まって美和子の新作料理を味わっていたところ。さっそく現場で調べるが、まるまる太った麗子はトイレにすわった際に便座を壊してしまい、便器にすっぽりとはまってしまった。夫・欣司が海外出張中のため、誰にも助けてもらえず、そのまま餓死したらしい。なんとも不幸な事故だが、右京は帰国したばかりの欣司の行動に不審を抱く。もし欣司がわざと便器が壊れるようにヒビを入れていたら…。そして、自分が海外出張中に便器が壊れるようなっていたら…。まるでそれは“時限装置”のようだ。はたしてそんなことができるのだろうか?

あくまでも他殺の可能性を探る右京は、自分の推理が正しければ電話に犯行の痕跡が残されているはずだという。電話?薫は首をかしげながらも欣司の電話記録を調べることに。 
一方、美和子(鈴木砂羽)はご近所のよしみで欣司をお見舞い。自慢のオリジナル料理「美和子スペシャル」を振る舞うが、料理が得意な欣司にあっさりと味付けを直されてしまう。死んだ麗子は家事が苦手、代わって欣司が料理も作っていたという。おかげで妻も太ってしまったと苦笑する欣司。それでも妻を心から愛していた、とつぶやく。

右京らは、便器が割れるようにわざとヒビを入れるなどとトイレに細工をしたのでは、と自らの推理を欣司に突きつける。が、言いがかりだと否定。しかし、欣司は出張先から何度も自宅に電話をかけていながら、出張5日目を最後にピタリと電話をしていない。麗子がトイレから出られなくなったことを電話で確認したのでは?と右京は迫る。たまたまそうなっただけ、という欣司だが、今度は伊丹(川原和久)らが欣司が助手の女性と浮気をしていた事実を突きつける。太りに太り、変わり果てた姿になった妻に愛想を尽かし、若い女性に惹かれた欣司。そして、妻のことが邪魔になり…。
それでも「自分は妻を愛していた」と否定する欣司。いずれにしても決定的な証拠はなく、水掛け論になってしまう。こう着状態になったとき、右京は突然欣司に料理を作ってくれと頼む。

 渋々台所に立つ欣司に右京がある条件を提示した。
「例の眼鏡をかけて作っていただきたいんですが」。
 右京が以前、欣司の寝室で見つけた眼鏡だった。
 欣司は自分がかけていた眼鏡を外し、差し出された眼鏡をかけて料理を始めるが、なにやら様子がおかしい。おぼつかない手で材料を切っていたかと思うと、今度は調味料のビンに書かれた文字が見えないらしい。そしてしまいには「勘弁してもらえませんか」と手を止めてしまった。
 実は右京が拾った眼鏡は度が入っていないダテ眼鏡。それを欣司はまるで自分の眼鏡であるかのように右京から受け取っていた。
 しかし、目が悪い欣司にダテ眼鏡は必要ない、では、欣司がウソをついてまでごまかしたダテ眼鏡の本当の持ち主とは誰なのか?

 右京はそのダテ眼鏡の持ち主が、死んだ麗子の浮気相手ではないか、と指摘する。事件直後、寝室に入った右京は夫婦の写真が倒れていたことを覚えていた。そして、不要のダテ眼鏡…。つまり夫の留守中に麗子の浮気相手が人相をごまかすために眼鏡をかけて忘れていった、写真を倒したのは後ろめたさを隠すため…。
 欣司が妻を殺害した動機も妻の浮気にあったのでは?ゆっくりと謎を解き明かしていく右京に、さすがの欣司も犯行を認めた。
 泣いて頼んでも浮気をやめない麗子、自分も浮気をしてみたが気持ちは少しも晴れなかったという。
 部屋を出るとき、ふと振り返った欣司は美和子に「美和子スペシャル」をより美味しくする方法を言い残していく。
「頑張ってご主人に美味しい手料理を作ってあげてください。でもカロリーには気をつけて」。

ゲスト:野村宏伸

脚本:輿水泰弘
監督:近藤俊明