2006年11月1日(水) 9:00〜9:54pm第4話「せんみつ」

12億円の宝石強奪事件で世間が騒然となる中、三浦(大谷亮介)が右京(水谷豊)に槇原(平田満)という空き巣の常習犯を調べて欲しいと頼みにやってきた。千に3つしか本当のことを言わない嘘つき=“せんみつ”の槇原が、奥多摩の別荘に侵入して捕まった今回ばかりはなぜか素直に罪を認めているという。

興味を抱いた右京が薫(寺脇康文)とともに槇原を取り調べると、なるほどスラスラと犯行を自供する。あまりに辻褄が合いすぎ、やはりその話はウソくさい。右京は、槇原が隠している真実を聞き出そうと、なぜシーズンオフの別荘を狙ったのか、どうやって数ある別荘の中から侵入した別荘を選んだのか、など細かい質問を繰り返し、証言のほころびを見つけ出そうとする。
それでもボロを出そうとしない槇原。わざと逮捕され起訴されたがっているのではないか。そう考えた右京はさりげなく槇原に圧力をかける。
「窃盗より重い罪を犯した人間がその罪を糊塗しようとしている、とか」。
 しかし、槇原は顔色ひとつ変えようとしない。

薫と美和子(鈴木砂羽)が今は稼動していない産廃場で男の他殺体を発見した。死亡推定時刻は槇原が逮捕される直前。ということは…。
三浦ら捜査一課は槇原を殺人事件の重要参考人として取り調べる。必死で否定する槇原だが“せんみつ”の言葉など信じられない。激しく責め立てられる槇原に三浦の心も重い。

右京の推測どおり、実は三浦と槇原は同郷の人間だった。盗みを重ねる理由を聞く三浦に、槇原は1億円稼いでさびれていく故郷で温泉を掘るんだと答えたという。そして、話の最後にこう付け加えた。
「これは3つのうちのひとつです」と…。

槇原が殺人犯だとしたら、現場近くの別荘に侵入などせず、さっさと遠くへ逃げたはず。殺害現場からは槇原の指紋も発見されず、逆に被害者が12億円宝石強奪事件と関係があることが判明した。となると、宝石強奪事件と槇原も関係があるのか?右京は槇原の当日の行動を調べ直し、近くにある高森酒造の倉庫を訪ねる。そこには2011年の熟成を待つ酒樽と高額のワインが保管されていた。その樽は現在個人オーナーを募集中、2011年の熟成を待って、初めてオーナーの手で樽は開封されるという。

殺された男がかつて高森酒造に勤めていたが、素行不良で解雇された本脇(川瀬陽太)と判明した。川瀬は12億円宝石強奪事件の一味。槇原の所持品を調べた右京は、三浦らにひと芝居うってもらい、殺人容疑が解けたと取調室に一人槇原を残す。そして、近くには携帯電話の忘れ物が…。

思わず手に取り電話をかける槇原は高森酒造のバーレルオーナーに応募しようとした。

その現場を押さえた右京らは、実は槇原は高森酒造の高級ワインを狙っていたことを突きつける。しかし、本脇が盗んだ宝石を独り占めしようと樽の中に隠すところを偶然目撃してしまい、本脇が殺されるところも見てしまった。宝石強盗から追われる身になった槇原は別荘に侵入し、わざと身の安全を守るため、わざと逮捕されたのだった。そして、5年後の2011年、12億円の宝石を取り出すために…。

かたぎになれという三浦に、槇原は冗談じゃない、これからも空き巣やります、と言い張る。しかし、右京はそんな槇原の心を見透かしていた。
「ウソしか言わないなら、今の言葉もウソなんですね…」。

ゲスト:平田満

脚本:戸田山雅司
監督:和泉聖治