2006年1月1日(日) 夜9時
第11話 「汚れある悪戯」
 ある銀行の昼休み。総務部の城崎愛梨(葉月里緒奈)が、眼鏡を掛け換え出かけて行く。その姿を追う何者かの視線。程なく総務部長・平林(斎藤洋介)あてに、愛梨を誘拐したとの電話がかかってくる。犯人は“須佐之男(スサノオ)”と名乗り、身代金5億円を要求。人を食った態度で警察への通報を容認した後、電話は一方的に切られる。
 警視庁は“特殊班”の出動を要請。銀行と所轄署に指揮本部を設置し、犯人からの連絡を待つ。2度目の電話を逆探知した結果、犯人は愛梨の携帯電話を使用していると判明。居場所を絞れても、特定は難しい。警視庁は全署員を無期限待機とし、総動員で事件に当たる。ただし、特命係は対象外。亀山薫(寺脇康文)がふてくされて帰ろうとすると、犯人から3度目の連絡が入る。特命係には、犯人とのやり取りを傍受できる無線機が置かれているのだ。犯人は愛梨を電話口に出す。「助けてください!」。聞こえてくる愛梨の叫び声。人質の無事を伝えた犯人は、身代金を1億円ずつ、帯封を切って袋に詰めることと、ヘリコプターを準備することを要求。そして、警察に体制を整わせるため、明朝まで待つという。普通は一刻も早くと焦るのが誘拐犯の心理。にもかかわらず“須佐之男”は、のんびり夜が明けるのを待ち、明るくなってからの接触を設定してきた。「僕ならば、断然夜がいいですね」という杉下右京(水谷豊)は、犯人が身代金を受け取る気がないのではと推測する。
 その夜、は、インターネットの掲示板に“須佐之男”というハンドルネームを発見する。スレッド名は『誘拐事件発生だよ!』。書き込み今日だ。明日の午前10時に身代金をばらまくとし、場所も指定している。指揮本部に連絡する。しかし、特命係からの電話に耳を貸すものはなく…。
 翌朝。スタンバイしたヘリコプターは犯人の指示に従い離陸。からかうようにあちこち飛行させた後、犯人は掲示板に記した公園へとヘリを向かわせる。
 若者でにぎわう公園広場。その上空にさしかかるヘリ。先回りした右京が見上げる中、身代金として用意された5億円がばらまかれる。金に殺到する人。その中では、目隠しと猿ぐつわをされ、座り込む愛梨を発見する。
 愛梨は、会社を出た後、一人で歩いているところを後ろから襲われた。その後、目隠しとヘッドホン、後ろ手に手錠を掛けられた状態で監禁されていたため、犯人の顔は見ていないという。しかし、愛梨の手首には何の跡も残っていない。監禁された部屋には暖房が入っていたというし、愛梨の眼鏡がきちんとポケットに入れられていたことなどから、右京は愛梨の証言が事実ではないことを嗅ぎ取るのだった。
 その晩、帰宅した愛梨は変声機で声を変えた男からの電話を受ける。「第一幕は大成功だったな。今度は人質の写真を撮ってネットにアップするぞ」…。
 同じ夜、畑山財閥の御曹司・哲弥(甲本雅裕)が“須佐之男”に誘拐される。身代金は5億。通報を受けた警視庁は、畑山邸に指揮本部を設置。しかしその甲斐なく、哲也は変わり果てた姿で発見される…。