2005年11月30日(水) 夜9時
第8話 「監禁」
 「無断欠勤とは、不届きですねぇ」。お昼過ぎ、亀山薫(寺脇康文)の出勤表を見つめながら、杉下右京(水谷豊)がつぶやく。は今朝から警視庁に姿を見せていない。携帯電話もつながらないままだ。そこへ、右京を訪ね女子中学生の2人組がやってくる。前日、あるジャーナル誌に載った『警視庁・特命係に“和製シャーロック・ホームズ”がいる』という投書を読んで、取材を申し込んできたのだ。2人は推理小説研究会のメンバーで、右京を題材に新しい小説を書くという。快く取材に応じる右京。中学時代、自分も推理小説を書いていたという右京と少女たちの間には、和やかな時間が流れていく。
 取材を終えた右京は奥寺美和子に会う。彼女は夕べ、に約束をすっぽかされていた。家にも行ってみたが姿はないという。気になった右京はその足で捜査一課へと向かう。捜一の面々が協力的な姿勢を示すことは無かったが、偶然にも、右京は彼らから大きなヒントを得る。捜一は、捜査中の大学教授と歴史研究家が相次いで行方不明になっている “インテリ失踪事件”になぞらえ、に共通点がないことを百も承知で、第三の被害者に見立てるという不謹慎なことを言ってきたのだ。「杉下さんなら分かるんですけど」との捨て台詞まで付けて…。
 特命係に戻った右京は、ジャーナル誌を手に前日の出来事を思い出してみる。前日の退勤時、右京は一人の女性に鞄を捕まれ、足留めをされていた。記事を読んでファンになった、相談に乗ってほしいと色っぽく迫る女性。右京はとっさに、それはもう一人の特命係、亀山刑事のことだと嘘をつき、面倒をやり過ごしていたのだった。
 鞄を持って鑑識に向かう右京。予想通り、指紋から女の素性が割れる。前科があったのだ。進藤ミサエ(佐藤江梨子)、26歳。若さに似合わず、2度も実刑を受けている。罪状は横領、詐欺に強盗未遂…。金のためなら何でもするタイプと思われた。
 右京は、ミサエがを和製シャーロック・ホームズと勘違いし、連れ去ったと確信。事件を“インテリ、かっこ、例外一名含む、かっこ閉じ、失踪事件”と改め、単独で捜査を開始する。
 そのころ、行方知れずのは、どこかの地下室にロープで拘束され監禁されていた。古めかしい家具に大量の書物。壁には軍人らしき人物の写真が飾られている。そして重厚な埋め込み式の金庫。のそばには破壊された携帯電話と、一編の詩が書かれた紙が置かれていた。『やまとはくにのまほろば たたなづくあおがき やまごもれる やまとしうるはし』…。
 「お勉強は進んだかな?」。そう言って階下に降りてきたのは、ブランド服に身を包んだミサエだ。金庫内には4億相当の金塊があり、この詩は金庫を開けるための暗号だと言う。と同じように拉致されてきた大学教授と歴史研究家は、暗号を解くことなく不慮の事故で命を落としたとも。もしも暗号が解けなければ、も同じ運命をたどるのは明白だ。現に、はすでに痛手を負っている。しかし、肉体派の右京並みの推理が働くはずもなく…。
 ミサエがしびれを切らすのが先か、それとも右京が居所を突き止めるのが先か、1秒を争う戦いの結末は…!?