捜査の結果、6件中2件の会社で不採用になった黒川英明(村杉蝉之介)という男が浮上してくる。一流大学出身で国家資格を持ち、履歴書からだけでもプライドの高さがうかがい知れる男だ。
桐子の死因は窒息死。遺体の損傷が激しく、煙を吸い込んだためとは断定されなかった。そこで右京は、絞殺の可能性もあるとみて別方面から捜査に乗り出す。出火前に桐子が殺されていたとすれば、使われなかった消化器の謎も解ける。さっそくヨツバ電気に赴いた2人は、桐子が社内で相当恨みをかっていたことを知る。「小柳津(こやなつ)は嫌なやつ」。社員はそう言って、桐子を中傷していた。理由は、桐子がふりかざす“正義感”にあったらしい。桐子の組合長としての働きは度を超え、自社製品へのクレームにまで発展していたという。その結果、降格を余儀なくされた社員もいた。その一人、恩田義男(嶋田久作)。桐子は恩田が設計した製品の欠陥を指摘し、製造ラインを止めて全品検査をしない限り、業界紙に告発すると言い張ったらしい。自社を脅迫する女。恩田の目に桐子はそう映った。右京たちを前にしても、桐子への恨みをまったく隠さない恩田…。 |